セルフセラピー ゲランの調香師の力に癒される

もうここ2か月くらいずっと香水が欲しくてしかたがありませんでした。会社の昼休みに携帯で検索するのも香水ばかり。どんな香りを求めているのか自分でもわからないのに。私がこのように新しい香りを欲する時というのは決まって心の中にネガティブなものが沈殿していて、そこから発せられるSOSみたいなものです。とにかくなんだか疲れている。老化現象の一つなのかな。香りに癒されたい。
もともとジバンシイのランテルディを買うために向かったデパート。そこでジバンシイに向かう途中に通りかかったゲランのカウンター前で手渡されたモン ゲラン ブルーム オブ ローズのテスターの香りを嗅いだ瞬間、心が大きく揺さぶられました。

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(画像はゲランの商品ページからお借りしました)

だけどそこでブルーム オブ ローズをすぐには買わず、オードリー・ヘップバーンのために作られた香り、ランテルディの香りをもう一度嗅いでみるためにジバンシイへと向かいました。

ああ、やっぱり好き。高貴だけど温かみがあって甘すぎなくて・・・こんな女友達が欲しい。そんな風に思いましたが、私の足はなぜか再びゲランのカウンターに呼び寄せられるかのように向かいます。

このモン ゲランシリーズには

  1. モン ゲラン
  2. モン ゲラン フローラル
  3. モン ゲラン ブルーム オブ ローズ(テスターを受け取ってこれだ!と思った香り)

の三種類があります。一番いいなと思った香りは3.のブルーム オブ ローズ。

「モン ゲラン ブルーム オブ ローズ」は、女性たちが充実した日々を送る様子を、フルーティで軽やかなブルガリアン ローズと優雅で清々しいネロリで表現。「モン ゲラン」に欠かせないジャスミン サンバックやカーラ ラベンダーに包まれ、生き生きと煌めくローズブーケのようなフレグランスです。

(商品ページから引用)

この商品説明のとおりの香りで、ふわっとローズブーケのように香るのに透明感がある香り。

だけどこれは気持ちというか、バイオリズムが上を向いてきた時につけた方が相乗効果がありそうだったのと、残念ながらこの香りはオードトワレしかありません。パルファンではないのです(涙)。というわけで三種類の中でもちょっと甘めの1.モン ゲランにしました。今の自分の精神状態にはこれが最適というか、しっくりくる。

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甘めといっても甘ったるい香りではなく、ジャスミン、サンダルウッド、ラベンダーが香りの中に作り上げた複雑な層のトップをふっとバニラが香るような甘さ。奥行きがある香り。香調はフレッシュオリエンタルですが、オリエンタルの中でも、フジヤマゲイシャではなく、インドから中近東にかけての、あのエキゾチックなイメージ。
現在このパルファンを買うと同じ香りのキャンドルもついてくるとのことで(ただし数に限りあり)、私も一ついただきました♪この記事もそのキャンドルをつけて書いています。

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癒される・・・。
この香りは時代や流行が変わっても、自分があと10歳くらい歳をとっても飽きの来ない、タイムレスな香り。まさにタトゥーのようになじむ。今もデスクの上に置いてふがふがしながらこの記事を書いています・・・。香りが精神状態に及ぼすよい影響、絶対にあると信じています。
それから同ブランドのリキッドファンデーション、アクアヌードの香りもすごくいい!すみれとローズがベースになっている香りでつけた瞬間うっとりしますが、あの香りは苦手な人もいると思う。

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cantfoolme.hatenablog.com

誇り高き高級娼婦の焦らし方から学ぶ 勝負所で感情をコントロールすることの大切さ


私が「最も印象に残った焦らしのシーンを一つあげろ」と言われたらこの「娼婦ベロニカ」(Dangerous Beauty)の1シーンをあげます。
圧倒的に男性側が優位だった恋愛関係を逆転させたシーンとも言えます。



16世紀のベネチアに実在した高級娼婦のお話です。
身分が釣り合わないため貴族の青年マルコとの結婚がかなわなかったベロニカは、彼への愛を貫くために高級娼婦となって彼のそばにいる道を選びます。国王や貴族を相手にする高級娼婦となれば、身分こそ違うままであれ、彼らの世界に入り込むことができるからです。
若く美しいベロニカは高級娼婦となるべく磨かれて、洗練、教養を身に着けてゆくのです。そしてよくぞここまで垢抜けた!という高級娼婦ベロニカは、瞬く間に地位の高い男達の間で求められるようになり、当然ある日貴族のマルコとも再会します。

Alexandre Francois Xavier Sigalon - The Young Courtesan

(上の画像はベロニカとは関係ありません)

マルコは既に政略結婚済みでしたが、彼がまたベロニカに惚れなおしてしまったのは想像に難くないでしょう。そして彼女の心がまだ自分のものだと信じて疑わなかったマルコは、ベロニカに口づけしようとするのです。
この日の、この瞬間のために高級娼婦の道を選んだベロニカ。どれだけ口づけたかったことでしょう。だけど彼女は唇が触れ合う寸前ですっと彼の誘惑をかわしてしまうのです。そしてマルコに何か囁くのですが(セリフは忘れてしまいました)、この時の焦らし方が素晴らしいのです。魅惑的なのに愛らしくて。
「身分が違いすぎるから結婚できないってあなたに言われた時、私がどれだけ傷ついたかわかる?出自のように自分じゃどうにもできないことが理由で捨てられた私の気持ちなんて貴族のあなたにはわかるわけないわ!」
こんな気持ちに蓋をせずに、怒りとそして彼へのあきらめきれない恋心にまかせて熱い口づけを交わしていたら、もうそこでおしまいだったでしょう。だけど彼女はそこでぐっとこらえて、高級娼婦の美しさ、誇り高さと風格でマルコを骨抜きにしてしまうのです。
男と女の関係だけではなく、生きていると勝負所が必ずやってきます。そこで感情的になってすべてを台無しにしてしまうか、あるいはその感情に自分を支配されることなく、主導権を握ることができるか。
勝負所だけではありません。日頃から「あの時感情的になりすぎてあんなことを言わなければ今頃は・・・」と思うような場面はたくさんあるはずです。それが積み重なり、自分が思っているよりもずっと深い溝を掘ってしまうかもしれません。


娼婦ベロニカ [DVD]


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Wendi Deng Murdoch(6)母親の黒歴史が娘達の邪魔をしない理由

前回の記事では「略奪婚成立までもう少し掘り下げて書いていきます」と書きましたが、あまり掘り下げるものがなかったため予定を変更して娘達について書きます。

自分の学生ビザのスポンサーになってくれた養父母の家庭を、グリーンカード取得のためにぶち壊したウェンディ。そして養父と結婚後4か月目には既に他の男の影がちらつき始めていました。そしてその男もやがて利用して捨てられたわけですが、アメリカンドリームと呼ぶにはあまりにも非道であるこの黒歴史は、ウェンディと二人目の夫でありメディア王のルパートの二人の愛娘達の成長に影響はあるのでしょうか?

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長女のグレースと次女のクロエが、ルパートと四人目の妻、ジェリー・ホールとの結婚式に参列した時の様子です。この他にも彼女達の画像は探せばいくらでもありますが、画像だけでは母親のダークな部分を受け継いでいるかどうかはわかりません。私は個人的に、ダークな部分はマードック家の血によってロンダリングされていると思っています。そして母親の黒歴史は彼女達の将来にまったく影響を及ぼさないでしょう。

確かに実業家の右腕としての才覚はあったのでしょう。しかしルパート氏を幸せにする気は微塵もなく金儲けのために利用したのでしょう。彼女は二人の娘にどのような教育を施してるのでしょうか。


これはWendi Deng Murdoch(5)名刺も肩書ももう要らない。最強の苗字を手に入れるまで - マリア様はお見通しという記事にしのぶ様からいただいたコメントの一部ですが、教育に関しては「アメリカと中国の一番よい面を両方取り入れています」とウェンディはインタビューで語っています。ゲストのおそらく中国系と思われるアメリカ人女性も「子供達に最高のもの(や環境)を与えることこそがウェンディのすべて」と言っています。やはり教育には熱心なようで、グレースもクロエもニューヨークの名門女子校の一つであるBrearleyに通っています。

youtu.beこのインタビューが公開された当時、アメリカに暮らし始めて既に10年以上経つのにこれだけ中国語のアクセントが強いということは、ウェンディは賢いけれどあまり語学向きではないと見ました。
彼女の英語についてはまた他の記事で書くとして(いろんな意味ですごい)、ルパート・マードックの娘としてどこに行っても特別扱いされているであろうグレースとクロエですが、当然心無い人達(主に同年代の同性)から母親の過去についてからかわれたことはあるでしょう。そしてITがここまで普及している今の時代、知りたいことなどググれば答えはほぼ見つかります。自分の母の過去だってそうです。
男と女のことなどまったく理解できないような年齢でそんな話を聞かされたら、自分の母親が犯罪者のようにすら思えたかもしれません。恥じたことも、気持ち悪いと思ったこともあるかもしれません。だけどグレースとクロエにとってはやはり母はウェンディしかいないのです。
「他の人にはひどいことをしたかもしれないけど、私達のことはちゃんと愛してくれている」と我が子に思わせることくらい、ウェンディには朝飯前でしょう。
ニューヨークの中でも上流社会の中で生活しながら「私の娘達はリッチなうえに美しいのよ!」と自分の黒歴史などすっかり忘れてしまったかのように堂々と、無邪気に娘達を称えるウェンディのたくましさもすごい。
そしてなんといっても娘達は、どこに行ってもルパート・マードックの娘ということで守られています。「あの子達の母親って・・・・」とそこらへんの有閑マダム達がひそひそとささやいたところで、政財界においてルパートが持つ絶大な影響力を考えたら、母親であるウェンディの黒歴史なんて屁でもないでしょう。娘達はマードック家の人間として生きていき、黒歴史はウェンディだけが背負っていくものなのです。

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上の画像は、姉妹がキリスト教の洗礼を受けた時の画像。見てくださいこの豪華なメンバーを。ルパートとオーストラリアンつながりでニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン、そしてウェンディの友人であるイヴァンカ・トランプと夫のジャレッド・クシュナー。で、ウェンディの右側にいる黒髪の美人ですが、ヨルダンのラニア王妃です。なぜラニア王妃が洗礼式に出席しているのかと言いますと、なんと姉妹の洗礼式はヨルダン川で行われたのです。しかもイエス・キリストが神聖な儀式を行ったとされているまさにその場所で。やはり富豪は金のかけ方がいちいちすごいんですよね。

Baptisms by the Jordan

こんな聖域で洗礼式を受けた可愛い女の子達には、もはや母親のやってきたえげつないことなんて関係ないでしょう。
ルパートの母、エリザベスは生前はっきりとこういいました。「あの子達は(ルパートが所有する)News Corp.の経営には携わらせない」
だけどウェンディがはいそうですが、と引き下がるわけはありません。必ず我が子達にNews Corp.における発言権を持たせるようにしてくるでしょう。実際娘達は同社の株式を取得していますしね(ただし経営に影響を持つほどの数ではない)。

 



シリーズ(7)に続く

Wendi Deng Murdoch(1)彼女がこんなにも気になる理由 - マリア様はお見通し

 Wendi Deng Murdoch(2)大都市・広州で動き出した運命 - マリア様はお見通し

Wendi Deng Murdoch(3)残酷なまでに鈍いからこそ辿り着けた場所 - マリア様はお見通し

Wendi Deng Murdoch(4)不美人がブロークンイングリッシュでオーストラリア人の幹部達をどうやって魅了したのか - マリア様はお見通し

Wendi Deng Murdoch(5)名刺も肩書ももう要らない。最強の苗字を手に入れるまで - マリア様はお見通し

昭和の雪景色を彩ったもの

年々地球の温暖化が進み、私の故郷は私が幼い頃ほど雪深くもないようで、だからこそもはや見ることはできないであろう雪景色のことをふと考えています。


真冬の田園。私が幼かった頃、この大きく真っ白なキャンバスを様々な原色の物体が斜めに横切り、暗く湿った裏日本の冬という作品を描きました。

私が小学生の頃冬用のアウターといえば、可愛さよりも実用性重視でした。防水・防寒具でしっかり完全防寒をして通学していたのです(私達はトップをアノラック、ボトムをゴムズボンと呼んでいた)。
ネットショッピングが普及していないどころか、インターネットそのものがまだ存在しない時代でしたから、皆地域では一番お洒落だと信じている大型スーパーに行き、カラフルな防寒具を購入していました。今の時代ならスノーウェアとでもいうのでしょうか。

ここから先は雪国で生まれ育った人なら容易に目に浮かぶと思うのですが、雪深い地域では、冬になると近道をして帰れるのです。時間的には普通に歩いて帰るのとおそらくたいして変わらないのですが、地理的に見て不思議と近道をした気分になれるのです。どうやって近道をするのかというと、歩道を歩いて直角に進むのではなく、雪で覆われた田んぼを斜めに突き進むのです。

ところどころ黒く汚れている白い田園地帯と暗く寂しい灰色の空の境界線はあいまいで、その中をカラフルな防寒具を身に着けた子供達が斜めに突っ切って彩っていくのです。
踏み出すたびにずぼっ、ずぼっという音を立てて。

こうして足をとられるため、もしかすると普通に歩道を歩いたほうが早かったかもしれませんが、私達が子供の時は近道をしているんだと信じていました。
帰省してももうこんな景色を見ることはないでしょう。もう昔ほど積雪もないためゴムズボンをはく必要もないし、積もったとしても今どきの子供達はゴムズボンなんてださくて履かないんだろうなぁ。


関連記事:雪景色は非日常だから美しくて楽しい - マリア様はお見通し

Wendi Deng Murdoch(5)名刺も肩書ももう要らない。最強の苗字を手に入れるまで

富豪という表現ではおさまりきらないルパート氏が選んだのは、典型的なトロフィーワイフの外見ではないけれど、非常に賢い中国人女性のWendi(ウェンディ)さんでした。

ウェンディさんはこうしてルパート氏の目に留まった

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「なんだ、そんなことか」という方法で彼女はルパートさんの目に留まります。いったい彼女の魅力はなんなのだろう?と気になって仕方がない人が読んだら失望するでしょう。
ルパートさんが香港のStar TVの新しい本社で、自身を囲む形のタウンホールミーティングを開いた際、他の社員達が皆ルパート氏の類稀な才能や成功に対しお世辞のような質問ばかりするのに対し、当時28歳だったウェンディさんはこう聞いたそうです。

「中国でのあなたのビジネス戦略がひどいのはなぜ?」


会場は静まり返りました。
ルパートさんは彼女の質問に対しちゃんと回答をしましたが、彼女は「その説明では不十分だ」と言い、彼はさらに説明をし「これで満足かな?」と聞きました。彼女は「いいえ」といい、ミーティングの後にルパートさんに直接話しに言ったそうです。
「イエスマンだらけの中で、メディアモーグル・Rupert Murdoch相手にものおじしない私」として目立ち、ルパートさんに自分を印象付けることに成功しました。
だけどこんなベタな、月9のドラマでくらいしか使われなさそうな筋書きでルパートさんの目に留まったとはいえ、ウェンディさんのすごいところはここからでしょう。彼女は自分が目立ちたい、彼の印象に残りたいという目的のために的外れな発言をしたり、適当に意見したのではなく、ルパートさんが抱く「中国市場に参入し、ビジネスを拡大したい」という野望をとげるために具体的な提案ができたであろうし、また自らその達成のために動く用意のできている野心家でもありました。

最強の右腕

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Star TVのCEO, ゲイリー・デイヴィー氏がウェンディさんにある出張についてざっと説明した時のことです。
「君には香港で重要な人物を迎え、そしてその人の旅行に関するあらゆる書類やホテルを手配し、上海に連れて行ってもらう」
ウェンディさんは"O.K."といっただけでした。その重要人物が誰なのかということを自分から確認しようともせず、あのルパート・マードックだと知った後でもまったく動じなかったのです。そしてウェンディさんとルパートさんは、上海出張で意気投合し、二人が早朝から一緒にホテルのジムで汗を流す様子を、その出張に同行した男性が目撃しています。そしてその男性は「二人の間には確かにときめきが存在していた」と言いましたが、実は当時まだルパート氏は二人目の妻、アナさんと結婚していました(結婚生活は暗礁に乗り上げていましたが・・・)。
その出張の後すぐにルパートさんは信頼できる知人に、自分とウェンディさんが逢瀬に使える隠れ家を用意するように依頼をし、そこでウェンディさんと数日を過ごしました。こうして彼はウェンディさんの毒牙にかかり夢中になってしまいます。そして当時既にインターンからStar TVのエグゼクティブとなっていたウェンディさんを表向きには休暇中ということにして、ルパートさんが囲って蜜月を過ごすのです。
ここまでルパートさんがウェンディさんが夢中になったのは、異性として魅力的だと思ったのはもちろんのこと、自分が喉から手が出るほど欲しかった中国市場の獲得するための強力な味方の出現に、心が躍ってしまったのではないでしょうか。当時ウェンディさんはルパートさんの願いをかなえることに全力を注いでいたのですから。

野心家同士がタッグを組む 愛人から正妻へ

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(AP Photo/Grace Studio, Tom Rollo)

ビリオネアとの結婚式での装いだというのに、なんだかこれからディナーショーで演歌でも歌いだしそうな雰囲気ですね。

「ちょっとは仕事のペースを落としてゆっくりL.A.で一緒に過ごしましょう」というアナ夫人。対するルパートさんは、まだまだビジネスを拡大、加速させたいと思っていたため拠点をニューヨークから移したくありませんでした。長い間お互いに少しずつ歩み寄りながら、ペースをそろえて生きてきたけどそろそろ二人とも疲れてしまい、夫婦でカウンセリングを受けていたのです。
それを知ったルパートさんのお母様は「離婚だなんてとんでもない!これから寂しい人生を歩むことになるし、計算高い女が近づいてきてはめられてしまうわよ」と、離婚をさせないように必死でした。そして計算高い女に出会ってしまったのです。男と女としてだけではなく、同志として同じ方向を見て共に歩いて行ける人間の出現が、ルパートさんに離婚を決意させたのは間違えないでしょう。老後の穏やかな日々をアナ夫人と共に楽しもうと買った豪華なヨットの帆を、ウェンディという風が揺らし始めたのです。
Star TVのスタッフ達は、ウェンディさんの優秀さや潜在能力、そしてエネルギーがあれば一流企業の幹部にもなれると思っていましたが、ウェンディさんのゴールはそこではなく、「有名になってリッチな生活をすること」でした。そしてその夢を実現させるために、このうえなく理想的なルパート・マードック氏に出会い、見事愛人から正妻へとのぼり詰めました。この彼女のぎらぎらしているエネルギーが、尽きることのない新たなビジネスへの展望を持ち続けるルパートさんにとって追い風のように感じられたのかもしれません。
まだアナ夫人と別居中の頃、マードック夫妻が離婚に向けて具体的に動き始めていたかどうかはわかりませんが、ルパートさんはウェンディさんと一緒にいることを望み、それを彼女に伝えました。それに対しウェンディさんはNoと答えるのです。わかりやすい展開ですね(笑)。

「どうやったらあなたと一緒にいられるというの?私にはよい仕事が必要なの。中国から努力を積み重ね、名門大学で学位をとるためにすごく頑張ったの。そして今恵まれた仕事を手にしている。もしあなたとの関係がうまくいかなかったら、私はすべてを失うことになるでしょう」


そしてルパートさんはこういうのです。
「心配しないで。ちゃんと結婚するから」
愛人という不安定な立場にいたウェンディさんは、一番聞きたい言葉をこうして引き出すことに成功しました。そして二人が結婚したのは、ルパートさんとアナさんの離婚から17日目のことでした。ルパートさんは68歳、ウェンディさんは30歳で、ルパートさんにとって三度目、ウェンディさんにとっては二度目の結婚でした。

 
次回は略奪婚成立までもう少し掘り下げて書いていきます。

シリーズ(6)に続く

Wendi Deng Murdoch(1)彼女がこんなにも気になる理由 - マリア様はお見通し

 Wendi Deng Murdoch(2)大都市・広州で動き出した運命 - マリア様はお見通し

Wendi Deng Murdoch(3)残酷なまでに鈍いからこそ辿り着けた場所 - マリア様はお見通し

Wendi Deng Murdoch(4)不美人がブロークンイングリッシュでオーストラリア人の幹部達をどうやって魅了したのか - マリア様はお見通し