Wendi Deng Murdoch(3)残酷なまでに鈍いからこそ辿り着けた場所

シリーズ(2)では、WendiさんがJake and Joyce Cherry夫妻に出会うところまで書きました。今日は彼らが出会い、修羅場を迎えてその後Cherry一家が崩壊し、WendiはグリーンカードをとってあっさりとJakeさんを捨てたことについて書きます。

医学部に進んで3年目に入る頃、Wendiさんは名前をWen GeからWendiに変えました。名前は自分のアイデンティティそのものですが、だからこそ彼女は記号を書き換えるように洋風の名前にさらっと変えたのでしょう。アメリカ人にとっての発音しやすさを考慮したというよりも、自分が近い将来中国を飛び出して、そのあとはもう中国人として生きていくつもりがなかったからこその選択のようにも思えます。そして勉強に割く時間も医学より英語にかける比重が大きく、その努力が幸運を引き寄せたかのようにCherry夫妻に出会いました。

Study


そして妻のJoyceさんが子供達の学校の準備のために一足早く帰国し、中国に残った夫のJakeさんはJoyceさんに「Wendiの学生ビザのスポンサーになるからすぐに準備をしてくれ」と伝えるのです。この時JoyceさんはまさかWendiさんと夫のJakeさんが男女の関係にあったとは思いもよらなかったのか、あるいは嫌な予感はしていたのかはわかりません。

完全に安全パイだとしか思えない外見の中国人の少女が・・・

私の想像ですが、おそらくJoyceさんは「まさか夫があの子と男女関係になるはずないわ」と思っていたのではないでしょうか。なぜならWendiさんはお世辞にも美人とは言えないからです。

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この画像はWendiさんと、元夫でありメディア王で大富豪であるRupert Murdochさんです。このころ既にお二人が結婚していたのか、あるいはまだ上司と部下の関係だったのかは不明ですが、どちらにしろMurdoch氏は既に相当Wendiさんにつぎ込んでいたはずですし、彼女自身も若手幹部としてかなり稼いでいたはず。お金があってもこんなに地味だったということは、医学生だった頃の彼女はもっと地味で、チャーミングとも言えなかったでしょう。だけど・・・


利発な子。
Wendiさんはこれに尽きたのではないでしょうか。利発な子が自分に尽くしてくれる。そうなってくると、もう可愛がらないわけにはいきません。
Wendiさんがアメリカに渡り、Cherry家にホームステイして現地の学校に通うようになったある日、WendiさんとJakeさんの関係がJoyceさんにばれてしまいました。なんとJakeさんは、中国にいた頃にホテルの自室で撮影したWendiさんの写真を大切に持っていたのです。なんて脇の甘い男なのでしょう。
JoyceさんはWendiさんを追い出しましたが、JakeさんもWendiさんを追って出て行ってしまいました。二人が出会ってからたった3年で結婚しました。Wendiさんは22歳、Jakeさんは53歳でした。

利用価値がなくなった途端捨てられた男性達

結婚して4か月くらいした頃、WendiさんはDavid Wolfという同年代の男性と浮気をし始めるも、Wendiさんはグリーンカードを取得するまでなんとか婚姻関係を続けることに成功。Jakeさんには「あなたは私にとって父親みたいなもの。今までもずっとそうだった」といったそうです。
「僕は彼女を愛していた」

Jakeさんはウォールストリートジャーナルのインタビューでそういいました。またDavidさんは、WendiさんがMBAをとるために入学したイエール大学マネジメントスクールの学費を自分の母親に出させています。Wendiさんは周囲に自らをDavidさんの妻として自己紹介するようにもなったそうです。ところが彼女がより大きなチャンスを見つけた時、彼もまた捨てられてしまったのです。
「二人の間で起こったことは、Davidに深い傷を残した」と彼の知人が証言していますが、彼を傷つけずに、彼との穏やかな時間を大切にしながら生きていくという選択肢は、Wendiさんには真っ先に消去されたでしょう。

着実に夢に近づく。その過程はどうでもよい

英語を教えてあげていた中国人女性に家庭を壊されて傷ついたJoyceさんや子供達、Wendiさんを本気で愛して家族を捨てたJakeさん、アイビーリーグの名門マネジメントスクールの学費を母に捻出させるほど盲目になっていたDavidさん。

夢を実現させるまでの過程が健気だと、その夢を実現させた人は尊敬されます。だけど過程がえげつない場合、興味の対象にはなっても尊敬はされません。でもそもそもWendiさんは尊敬されたいという欲求はないのではないでしょうか。また彼女はempathyと言われるものが欠落しているように思えます。
これは他人の気持ちを理解したり、共感する力ですが、出会って少なからず苦楽をともにした人々を傷つけることなど、自分の幸せと天秤にかけたら本当にどうでもいいことで、おそらく天秤にかけすらしない。冷血とも違う。血が冷たいというより、血の代わりにガソリンが流れているとでもいいましょうか。
運命のドアが開いているのを見たら、そこにたどり着くまでに力になってくれた人への恩義など考えられなくなってしまうのでしょう。断腸の思いとか、そういう感情は彼女の中で決して生まれないであろう感情。ここまで鈍いからこそ、今の生活を手に入れられたのです。empathyがあったら大切にするものの優先順位が変わってきますから。

己の欲望に忠実でタフ、そしてしたたかな「上海ガール」達の頂点

中国を出て豊かな生活をするために、欧米人のビジネスマンとの出会いを求める野心家の女性達について書かれたShanghai Girlsの著者であるLisa Seeさんはこう言います。
「(ウェンディがやったことは)他の国々ではgold diggerと蔑まれるでしょう。だけど上海では『なんというサクセスストーリーなの!そしてなんといっても好機を手に入れたのね!』と言われます。そして上海ガール達はその好機を手に入れたらより大きな成功への足掛かりとして利用するのです」
その上海ガール達から見たらWendiさんは羨望の的です。2011年にBritish Vogueの取材を受けたWendiさんは、自分がCherry家にしたことについてたずねられた際、すべての質問に"Yep."のひとことで答えたそうです。
British Vogueとしては、絶大な権力を持つメディア王のRupert Murdoch氏の妻であるWendiさんに、黒歴史についてインタビューするのは彼女の急所を突くようなものだから、聞きにくさはあったでしょう。だけどWendiさんは黒歴史だとは思っていないのではないでしょうか。とことんドライなんじゃないかな。


シリーズ(4)に続く

 

Wendi Deng Murdoch(1)彼女がこんなにも気になる理由 - マリア様はお見通し

Wendi Deng Murdoch(2)大都市・広州で動き出した運命 - マリア様はお見通し