Wendi Deng Murdoch(4)不美人がブロークンイングリッシュでオーストラリア人の幹部達をどうやって魅了したのか

妻子ある男性の家庭をぶち壊して結婚→グリーンカード取得後、その男性をポイ捨てし浮気相手と暮らし始めたウェンディさん。その後その浮気相手も捨てて、前と上だけを見て、着実に夢の現実に近づきつつありました。

イエール大マネジメントスクール入学、そして香港でのインターンシップ

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カリフォルニア州立大学ノースリッジ校において経済学の学士号を取得した後、ウェンディさんはイエール大学のマネジメントスクールに入学しました。シリーズ(3)でも書いたように、このスクールにかかった費用は当時おつきあいしていたDavid Wolff氏の母親に出させました。おそらく将来を約束しあっていたからこそ、Wolff氏のお母様も出資したのでしょう。
このスクールでMBAを取得するにあたり、インターンシップを経験しなければならなかったわけですが、そのインターン先が、ルパート氏が買収した香港のStar TVだったのです。そのインターン先が決まった経緯もすごい。同社の社長であるブルース・チャーチル氏が、ウェンディさんが通っていたマネジメントスクールのOBで、当時ソニーピクチャーズのプロデューサーをしていた男性から彼女を紹介されたそうです。誰に気に入られるべきなのかやはり彼女はよくわかっていますね。そこらへんの嗅覚がとても発達している。
だけど潜在的な視聴者数を考えれば当然誰もが手に入れたいと思っていた中国のTV業界に、自由市場をもちこもうとしていた多忙なルパート氏の目にインターンが留まるわけがないのです。彼女は何をしたのでしょうか?

帝王を魅了する前にまずは重要人物達を攻略したウェンディさんの武器

インターンとしての彼女はとにかく自信を持っていて楽観的で、そして積極的だったそうですから、控えめな一般的なインターンとはまったく違ったのでしょう。強い中国語訛りのあるブロークンイングリッシュでマシンガンのように話し続け、思い切りのよいタイプであった彼女は、当時Star TVが苦戦していた中国当局との交渉に一役買っていました。そして社内の重要人物には自ら積極的に近づいて行ったのです。もう一度いいます。彼女はインターンですよ・・・・。「頑張っていれば神様は見ていてくれるから、いつかいいことがある」などと甘いことを言わないのがウェンディ流なのです。また「聡明」とは違うけど頭はキレるタイプ。
幹部の多くがオーストラリア人男性でしたが、約束もとりつけずに彼らのオフィスに表れて「インターンのウェンディよ!」と自己紹介をする。これは見ていて感じの良いものではなかったし不快に思っていたスタッフもいたけど、なぜかウェンディはこういう不躾ともとられかねない行動が許される雰囲気を持っていたのです。
宣伝部門をとりしきっていた有力者の男性は長髪で、その髪を束ねるスタイルをしていたのですが、ある日彼がウェンディのオフィスの前を通り過ぎたのを見かけ、彼女はオフィスから飛び出してきて彼の束ねられた髪を掴んでぐいっと引っ張ると「ハイィィィ!インターンのウェンディよ!」と自己紹介をしました。この男性は一瞬驚きのあまり固まってしまうのだけれど、そんなことおかまいなしでにこにこしながら立っているウェンディを見て「まあいっか」となってしまったそうです。
ここまで読むと彼女が色仕掛けで幹部達に気に入られたわけではないことがわかりますね。自分は外見的にそれほど魅力的ではないと自覚していたからかどうかはわかりませんが、「がらっぱち」というキャラクターで重要人物達の懐に入り込んだのです。
こうして読んでいくと、彼女には同性として憧れる要素が一つもありません。シンデレラストーリーといえば、フランスのB級女優からロスチャイルド家に嫁いだナディーヌ・ド・ロスチャイルド夫人がいます。彼女の著書はページをめくる手がとまらないほど、とにかく同性として学ぶべきことがたくさん書かれていました。対するウェンディさんは知性、教養、洗練といったものから程遠く、頭がよいのはわかるのだけどどうしてもダークなイメージが払しょくできないのです。
とにかくこの「ポニーテールひっつかみ」の一件以来、周囲のスタッフ達はウェンディが非常に堂々とした野心家であることを確信するのです。こうして重要人物に自分を売り込み、いよいよ帝王=オーナーであるルパート氏を毒牙にかけるチャンスがやってきました。

シリーズ(5)に続く

Wendi Deng Murdoch(1)彼女がこんなにも気になる理由 - マリア様はお見通し

 Wendi Deng Murdoch(2)大都市・広州で動き出した運命 - マリア様はお見通し

Wendi Deng Murdoch(3)残酷なまでに鈍いからこそ辿り着けた場所 - マリア様はお見通し