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Wendi Deng Murdoch(5)名刺も肩書ももう要らない。最強の苗字を手に入れるまで

富豪という表現ではおさまりきらないルパート氏が選んだのは、典型的なトロフィーワイフの外見ではないけれど、非常に賢い中国人女性のWendi(ウェンディ)さんでした。

ウェンディさんはこうしてルパート氏の目に留まった

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「なんだ、そんなことか」という方法で彼女はルパートさんの目に留まります。いったい彼女の魅力はなんなのだろう?と気になって仕方がない人が読んだら失望するでしょう。
ルパートさんが香港のStar TVの新しい本社で、自身を囲む形のタウンホールミーティングを開いた際、他の社員達が皆ルパート氏の類稀な才能や成功に対しお世辞のような質問ばかりするのに対し、当時28歳だったウェンディさんはこう聞いたそうです。

「中国でのあなたのビジネス戦略がひどいのはなぜ?」


会場は静まり返りました。
ルパートさんは彼女の質問に対しちゃんと回答をしましたが、彼女は「その説明では不十分だ」と言い、彼はさらに説明をし「これで満足かな?」と聞きました。彼女は「いいえ」といい、ミーティングの後にルパートさんに直接話しに言ったそうです。
「イエスマンだらけの中で、メディアモーグル・Rupert Murdoch相手にものおじしない私」として目立ち、ルパートさんに自分を印象付けることに成功しました。
だけどこんなベタな、月9のドラマでくらいしか使われなさそうな筋書きでルパートさんの目に留まったとはいえ、ウェンディさんのすごいところはここからでしょう。彼女は自分が目立ちたい、彼の印象に残りたいという目的のために的外れな発言をしたり、適当に意見したのではなく、ルパートさんが抱く「中国市場に参入し、ビジネスを拡大したい」という野望をとげるために具体的な提案ができたであろうし、また自らその達成のために動く用意のできている野心家でもありました。

最強の右腕

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Star TVのCEO, ゲイリー・デイヴィー氏がウェンディさんにある出張についてざっと説明した時のことです。
「君には香港で重要な人物を迎え、そしてその人の旅行に関するあらゆる書類やホテルを手配し、上海に連れて行ってもらう」
ウェンディさんは"O.K."といっただけでした。その重要人物が誰なのかということを自分から確認しようともせず、あのルパート・マードックだと知った後でもまったく動じなかったのです。そしてウェンディさんとルパートさんは、上海出張で意気投合し、二人が早朝から一緒にホテルのジムで汗を流す様子を、その出張に同行した男性が目撃しています。そしてその男性は「二人の間には確かにときめきが存在していた」と言いましたが、実は当時まだルパート氏は二人目の妻、アナさんと結婚していました(結婚生活は暗礁に乗り上げていましたが・・・)。
その出張の後すぐにルパートさんは信頼できる知人に、自分とウェンディさんが逢瀬に使える隠れ家を用意するように依頼をし、そこでウェンディさんと数日を過ごしました。こうして彼はウェンディさんの毒牙にかかり夢中になってしまいます。そして当時既にインターンからStar TVのエグゼクティブとなっていたウェンディさんを表向きには休暇中ということにして、ルパートさんが囲って蜜月を過ごすのです。
ここまでルパートさんがウェンディさんが夢中になったのは、異性として魅力的だと思ったのはもちろんのこと、自分が喉から手が出るほど欲しかった中国市場の獲得するための強力な味方の出現に、心が躍ってしまったのではないでしょうか。当時ウェンディさんはルパートさんの願いをかなえることに全力を注いでいたのですから。

野心家同士がタッグを組む 愛人から正妻へ

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(AP Photo/Grace Studio, Tom Rollo)

ビリオネアとの結婚式での装いだというのに、なんだかこれからディナーショーで演歌でも歌いだしそうな雰囲気ですね。

「ちょっとは仕事のペースを落としてゆっくりL.A.で一緒に過ごしましょう」というアナ夫人。対するルパートさんは、まだまだビジネスを拡大、加速させたいと思っていたため拠点をニューヨークから移したくありませんでした。長い間お互いに少しずつ歩み寄りながら、ペースをそろえて生きてきたけどそろそろ二人とも疲れてしまい、夫婦でカウンセリングを受けていたのです。
それを知ったルパートさんのお母様は「離婚だなんてとんでもない!これから寂しい人生を歩むことになるし、計算高い女が近づいてきてはめられてしまうわよ」と、離婚をさせないように必死でした。そして計算高い女に出会ってしまったのです。男と女としてだけではなく、同志として同じ方向を見て共に歩いて行ける人間の出現が、ルパートさんに離婚を決意させたのは間違えないでしょう。老後の穏やかな日々をアナ夫人と共に楽しもうと買った豪華なヨットの帆を、ウェンディという風が揺らし始めたのです。
Star TVのスタッフ達は、ウェンディさんの優秀さや潜在能力、そしてエネルギーがあれば一流企業の幹部にもなれると思っていましたが、ウェンディさんのゴールはそこではなく、「有名になってリッチな生活をすること」でした。そしてその夢を実現させるために、このうえなく理想的なルパート・マードック氏に出会い、見事愛人から正妻へとのぼり詰めました。この彼女のぎらぎらしているエネルギーが、尽きることのない新たなビジネスへの展望を持ち続けるルパートさんにとって追い風のように感じられたのかもしれません。
まだアナ夫人と別居中の頃、マードック夫妻が離婚に向けて具体的に動き始めていたかどうかはわかりませんが、ルパートさんはウェンディさんと一緒にいることを望み、それを彼女に伝えました。それに対しウェンディさんはNoと答えるのです。わかりやすい展開ですね(笑)。

「どうやったらあなたと一緒にいられるというの?私にはよい仕事が必要なの。中国から努力を積み重ね、名門大学で学位をとるためにすごく頑張ったの。そして今恵まれた仕事を手にしている。もしあなたとの関係がうまくいかなかったら、私はすべてを失うことになるでしょう」


そしてルパートさんはこういうのです。
「心配しないで。ちゃんと結婚するから」
愛人という不安定な立場にいたウェンディさんは、一番聞きたい言葉をこうして引き出すことに成功しました。そして二人が結婚したのは、ルパートさんとアナさんの離婚から17日目のことでした。ルパートさんは68歳、ウェンディさんは30歳で、ルパートさんにとって三度目、ウェンディさんにとっては二度目の結婚でした。

 
次回は略奪婚成立までもう少し掘り下げて書いていきます。

シリーズ(6)に続く

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