年々地球の温暖化が進み、私の故郷は私が幼い頃ほど雪深くもないようで、だからこそもはや見ることはできないであろう雪景色のことをふと考えています。
白鳥が羽休めをしています。驚かさないよう遠くからそっと見ています。大きな足跡がいっぱい。 pic.twitter.com/kJ5BhF10nH
— kuroneko (@merutonoa) 2018年1月14日
真冬の田園。私が幼かった頃、この大きく真っ白なキャンバスを様々な原色の物体が斜めに横切り、暗く湿った裏日本の冬という作品を描きました。
私が小学生の頃冬用のアウターといえば、可愛さよりも実用性重視でした。防水・防寒具でしっかり完全防寒をして通学していたのです(私達はトップをアノラック、ボトムをゴムズボンと呼んでいた)。
ネットショッピングが普及していないどころか、インターネットそのものがまだ存在しない時代でしたから、皆地域では一番お洒落だと信じている大型スーパーに行き、カラフルな防寒具を購入していました。今の時代ならスノーウェアとでもいうのでしょうか。
ここから先は雪国で生まれ育った人なら容易に目に浮かぶと思うのですが、雪深い地域では、冬になると近道をして帰れるのです。時間的には普通に歩いて帰るのとおそらくたいして変わらないのですが、地理的に見て不思議と近道をした気分になれるのです。どうやって近道をするのかというと、歩道を歩いて直角に進むのではなく、雪で覆われた田んぼを斜めに突き進むのです。
ところどころ黒く汚れている白い田園地帯と暗く寂しい灰色の空の境界線はあいまいで、その中をカラフルな防寒具を身に着けた子供達が斜めに突っ切って彩っていくのです。
踏み出すたびにずぼっ、ずぼっという音を立てて。
こうして足をとられるため、もしかすると普通に歩道を歩いたほうが早かったかもしれませんが、私達が子供の時は近道をしているんだと信じていました。
帰省してももうこんな景色を見ることはないでしょう。もう昔ほど積雪もないためゴムズボンをはく必要もないし、積もったとしても今どきの子供達はゴムズボンなんてださくて履かないんだろうなぁ。