家で飼えないと判断した錦鯉を他人の庭の池に放した結果

 私はご近所の庭にあった池に、飼えなくなった錦鯉の幼魚を三十匹ほど放してしまったことがあります。まずはそうなってしまった経緯から書きます。

「錦鯉を飼いたい」という熱意は親に伝わったけど、買ってもらえたのは120cm水槽だった

物心ついた頃から泳ぐもの、特に錦鯉が大好きでした。だけど「池は維持・管理が大変だから」という理由で庭に作らせてもらえませんでした。
そこでない知恵をしぼり「親にばれないように作れて、維持・管理が楽な池はないだろうか」と考えました。そして思いついたのが、地中に埋め込むだけでできあがり!のひょうたん池でした。

 

これなら子供一人でも池を庭に作れます。穴を掘ってセメントで塗り固めると、アク抜きのために水を張っては捨て、それを何度か繰り返している間に親にばれてしまいますが、アク抜き不要のひょうたん池なら埋めてすぐに錦鯉の稚魚を移せます。
しかも 現在はこのように太陽光を利用して噴水を設置できる商品もあります。


 

いいなぁ。私が子供の頃に存在していたら、絶対買って池づくりを強行していたでしょう。

【噴水作動時、水中の溶存酸素量を増加させます。】

(商品情報より引用)


ということは、ブクブクと水中に酸素を送る役目を果たすエアーポンプをつける必要もない=屋外に電気を引っ張る必要なし!
ただし太陽光を利用して噴水を起こすため、日本海側など日照時間の短い地域は注意が必要です。以下の動画では晴れの日と曇りの日ではこのソーラーフローティングファウンテンの動作がどのように異なるか確認できます。

晴れの日の見事な噴水は05:15あたりから始まります。太陽の力ってすごいですね。
私の池づくりの話に戻ります。
いくら反対していた両親だって、さすがに既に庭に埋めてしまった池に対してはあきらめてくれると思ったのです。
そこで私は「○○ちゃんちに遊びに行ってくる」と嘘をつき、ためたお小遣いを握り締めて歩いて1時間半かけてホームセンターまで行きました。そしてひょうたん池を買って、それを持って帰り、一人で埋めることにしました。

夜中の孤独な作業に耐えられなかった。私の熱意はその程度だったということ

両親にばれないようにひょうたん池を埋めて事後報告にしてしまえばいい、と考えていた私は、夜中に作戦を実行することにしました。
自宅の裏庭は北に面していて、日当たりも悪く苔がのびのびと育っているようなところでした。そこにまず穴を掘るわけですが、当時小学生だった私にとって、真夜中に一人で作業をすることが、たとえ自宅の敷地内でも薄気味悪いものなのだということに気がつくのが遅すぎました。
ひょうたん池は父が後日返品しに行き、代わりに120cm水槽を買ってくれました。そして後日、たまたま仕事で行った錦鯉の名産地で、生き埋めにされる予定だった「商品価値のない錦鯉の稚魚」をたくさんもらって帰ってきてくれました。200匹くらいでしたでしょうか。

無責任な過密飼育の果てに

koi


いくら水槽が大きくて、そしておつまみの「アーモンド&小魚」の小魚程度のサイズの稚魚とはいえ、100匹超は明らかに過密飼育でした。酸素ポンプから酸素を送ってもまだ足りない状態で、稚魚の数はあっという間に半分になりました。
習い事から帰ってくると、水槽の前に陣取って、生き残った70匹が泳ぐ姿を見つめながら、彼らの将来を憂いました。

「30匹くらい減らさないと・・・・」

裏の川に捨てるのはいやでした。なぜならその川がどこの河川につながっているのか知っていて、自分の錦鯉がその河川で泳ぐ姿を想像できなかったからです。そこで私は歩いて5分のところにある池のあるお宅を思い出しました。

「あそこの池なら確か水を循環させる機械もついていたし、うちの120cm水槽で飼われているよりは幸せだろう」

善は急げ、です。暗くなってから、バケツに30匹ほど稚魚を入れて、そのお宅を目指しました。おばあちゃんが一人暮らしをしていたお宅なので、池に放すのを見つかる心配もなさそうでした。
そして池に稚魚を放し、のびのびと泳ぐ姿を見ながらしばらく幸せに浸っていました。そしてこの姿を、そこのお宅に暮らすおばあちゃんにばっちり見られてしまったのです。そんなことも気づかずに家に帰ると、おかえりーという声の代わりに母親の「あなた何やってるの!!!!」という怒号が聞こえてきました。

「今○○さんからお電話があってね、『マリアちゃんからとても綺麗な鯉をいただきました。ありがとう。そして錦鯉が見たくなったら、好きな時に見に来てもいいんですよとお伝えください』って言われたのよ!なんで○○さんのお庭に勝手に入ったの!」

「120cm水槽しか買ってくれないから酸素が足りなかったんだよ!」と逆ギレしてみましたが、効果はなし。
だけどおばあちゃんのお言葉に甘えて、夏休みはほぼ毎日自分が放した錦鯉の稚魚の成長を見に行きました。遊びに行くと、必ずおばあちゃんが西瓜やらアイスクリームを出してくれるので、それをいただきながらぼけえっと池を見ているだけ。幸せだったなぁ。


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