アプレロンデがゲランの名香として愛され続ける理由

 
アプレロンデを使ってみたいと思い始めたのは、かれこれ2年くらい前でしょうか。ついに購入しました。現在はEDTのみの取り扱いです。EDPも使ってみたかったな・・・っていうかそもそもあったのかな・・・。

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本当はゲランでスタッフの方からコンサルテーションを受けて実際に香りを試してから購入したかった・・・だけど今の時期、人口が多いところに行くのはちょっと怖い。ウェブでアプレロンデをひたすら検索し、多くの口コミを読み込んで納得のうえで同ブランドの公式オンラインショップから購入した結果・・・・

イメージしていた香り

1906年にジャック・ゲランが創作。雨上がり、日差しがキラキラと降り注ぐ情景を表現したのが「アプレ ロンデ」です。バイオレットやアイリスなどの花々のパウダリーな香りに、バニラがアクセントとなった華やかなハーモニー。
パウダリー フローラル 優しく、デリケートで神秘的な香り。 繊細さにあふれた香り。トップはアニスシード。パウダリーでスパイシーなフローラル ブーケの香りが続き、朝露をまとった下草の中の散歩を思わせます。

(ゲランの公式ページより引用)


これを読んだ私は、瑞々しい香りを想像していました。イメージとしては下に貼ったツイートの画像のような、この雨露に濡れたバラが咲き誇る庭園から沸き立つような香り。湿った土や、花びらに弾かれて輝く雨の雫を思わせるような香り。だけど実際の香りは違いました。筆者が尊像していた何倍も繊細な香りでした。

実際に肌に乗せてみて感じたこと

筆者はフレグランスのレビューは@CosmeFragrantica(後者は英語のサイトです)というサイトを信頼しているのですが、Fragranticaに書かれていた「イメージとしては紫色のフレグランス」「お葬式の香り」「メランコリックな香り」というレビューが筆者の好奇心をかきたてたのです。こうして背中を押されて購入したアプレロンデをしゅっと肌に乗せてみて、彼女達が伝えたかったことがよくわかりました。
確かに紫色のイメージです。寒色系の香り。目の前の空気がひんやりとするような錯覚。お葬式の香りと言われるのは、アイリスやバイオレットの香り方、でしょうか。ややスパイシーなんですよね。
メランコリックな香りという表現にも納得しました。だけど暗いメランコリックではない。香りがとても繊細なのでノスタルジック寄りのメランコリックと言っておきましょう。この香りを嗅いで思い浮かべる情景は人それぞれだと思いますが、次回は是非雨上がりのタイミングにあわせて使ってみたいと思います。そしたらまた違った情景が瞼の裏に映りそう。天候が不安定な秋の雨が降ったある日に使ってみたら、また違った雰囲気が楽しめたりして♪

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好き嫌いが分かれるトップの秘密はアニスの香り

このトワレをつけてまもなく「一瞬正露丸の匂いがしなかった?!」と思うような、漢方の匂いがふと鼻を衝く瞬間があります。これ、アニスだと思うのですが、ここで好き嫌いがはっきり分かれます。そして筆者は最後までバニラの香りを感じ取ることはありませんでした。香りの持続ですが、個人差は当然あるでしょうが、私の場合は1時間ちょっとしか持たなかったものの、ヴァイオレットやアイリスといった「紫をイメージする香り」、そして恵の雨をたっぷりと受け止めた大地の香りを楽しんで、早く雨が降らないかなぁと願いました。そしたら雨あがりにこの香りをまとって楽しむことができるのに。

フレグランスメゾンの名香のすごさの秘密を詰め込んだアプレロンデ

アプレロンデを使ってみて最も強く感じたことが、フレグランスメゾンとしてのゲランの誇り。他のメゾンが絶対に思いつかないような、作ろうともしないような香り。オスが惹きつけられずにはいられないメスの香りだったら他のメゾンが量産してくれますが、にわか雨の後の情景を詰め込んだボトルを売り続けることができるのは、ゲランだけ。繊細で複雑で、例えば今から3年後に同じ香りを使ってみたら、同じにわか雨の後でもまったく違う情景を思い浮かべてしまうような、心に染み入る香り。愛され続ける理由がよくわかります。こんな香り、なかなか出会えない。
今回アプレロンデという100年以上愛される名香を手に入れたことで、ゲランのフレグランスメゾンとしてのプライドと美学を少しだけ理解できた気がするのですが、これはこれからもゲランのフレグランスは少しずつ集めていきたいと思っている自分にとってはとても大切なことです。
晩秋になったらいよいよ!ルール・ブルーを買う予定です。

ゲランのフレグランスには、ひとつひとつ物語があります。その中には似たストーリーを持つものも。「アプレ ロンデ」と「ルール ブルー」がそのひとつ。どちらも、自然の風景を切り取り、自然からインスピレーションを得た香りです。「アプレ ロンデ」が創作されたのは、「ルール ブルー」の6年前。「ルール ブルー」より水彩画的で、パステルカラーの趣があります。

(ゲランの公式ページより引用)


似たストーリーを持つ二つの香り。ルール・ブルーのストーリーのページを開くのは、もう少し先にしましょう。

アプレロンデと同じくジャック・ゲラン氏が調香したShalimarも素晴らしい。

cantfoolme.hatenablog.com