なぜ一般人のYouTubeチャンネルはこんなに面白いのか

とても好きなチャンネルがあります。出会いは関連動画の一つに表示されていてそれをクリックして視聴し始めたというありきたりなものですが、とにかく引き込まれてどんどん見てしまう。「TVは見なくなったけどYouTubeは見る」という人も多いと思うので、どうして一般人のYouTubeチャンネルがこんなにも面白く魅力的なのか考えてみました。

 

一般人のYouTubeチャンネルは面倒臭いしがらみがない

スポンサーや芸能事務所への忖度、このタレントとあの女優は共演NG・・・・TV番組という娯楽を製作するうえでは多くのしがらみが出てくるため、面白いものを作るということが最優先できませんが、一般人のYouTubeチャンネルだとこういうものがなくて、管理者のやりたいようにやれるため、その人の世界観やセンス、好み、カラー=個性が出しやすい。その分ファンとアンチ、あるいは興味を持たない人にはっきりと分かれますが、熱烈なリピーターも得やすいといえるでしょう。では個性についてもう少し掘り下げていきたいと思います。

相性がよい動画は見ていて疲れない

最近発見して以来更新を楽しみにしているのが「集落町並み探訪学」というチャンネルなのですが、管理者の万訪(まんぼう)さんの編集、構成がもうストライクゾーンのど真ん中なのです。

キャプションの色は歴史豊かな集落の邪魔にならないように、画像にすっと溶け込んでいくようなアイボリー。原色で太字のキャプションがばんっ!と目に飛び込んでくるような動画が好きな方には「字が見づらいなぁ」地味に感じられるでしょうが、筆者は万訪さんがキャプションに選んだ色やフォントに、天界の集落への敬意を感じました。
そして万訪さんのナレーション(声、話し方)もいい。とにかく見ていて疲れないのです。

実はこのチャンネルはサブチャンネルで「集落町並みWalker.万訪」がメインチャンネルなのだそうですが、私はナレーションが入るサブチャンネルの方が好きです。わかりやすくまとめられたナレーションが入ることによって、動画に出てくる集落に関する知識が得られるし、知識を得ることでしか見えてこないその集落の魅力があるからです。

視聴者との距離感

これは実生活において心地よいと感じる距離感が人によって異なるように、YouTubeでも同じことがいえると思います。例えば町を散策して見つけたものをシェアする動画にしても、管理者自身がばんばん動画に登場してキャラも露出しまくって親近感を出すタイプが心地よいと感じる人もいれば、万訪さんのように、番組のオープニングとエンディングにほんのちょっと挨拶で登場する程度(そしてその登場の仕方もまたいいんですよ)に露出を抑えて「あ、万訪さんってこんな感じの人だったんだ!」とチラ見せで距離をぐっと縮めてくる管理者をいいなぁと思う人もいる。視聴者は好みの方に登録すればいいだけの話です。

視聴者の心をつかむ編集・構成

一般人が作成した動画を見ていると、そっと心に触れているだけのようで、実はここでぐっと掴んでいる・・・そんな風に感じることはありませんか?例えば万訪さんのサブチャンネルの方ですと、エンディングが近づいてくるとバラードが流れてきて「ああ、面白い動画がもうすぐ終わっちゃう」と名残惜しくなるのです。そして「またお会いしましょう」の挨拶が入ったと思うと、エンディングに万訪さんが登場し、彼自身が操作しているドローンがどんどん遠ざかっていき、そして万訪さんも小さくなっていき、余韻を残して終わる動画。
動画制作は苦労も多いと思いますが、こんな風に誰にも邪魔されず一人で自分の好きなように作れる喜びはあるでしょう。TV番組だとこうはいきません。自分がいくら「えっ?それを入れるとちょっとダサくならない?」「それは興ざめ」と思っても、視聴率獲得というプレッシャーがありますから、不特定多数に受け入れられるものを作らなくてはいけません。だけどYouTubeチャンネルは自分のメディアです。自分の世界観を好きなように詰め込める幸せ。

私もいつか動画をアップロードする側に回ってみたいものです。