なぜボワ ダルメニという香りは疲れている人に求められ、愛されるのか

今週のお題「買ってよかった2021」

ついに購入しました!今年の春からずっと気になっていたボワ ダルメニ

アルメニアの森、という意味の名前を持つこの香り。購入前は数か月もの間散々ウェブでサーチを続け、「そんなに調べまくっているくらいならさっさと買えばいいのに!」と何度自分で思ったことか・・・。そのくらい時間をかけてサーチしていたわけですが、すればするほどボワ ダルメニへの思いは募りました。
そしてある日いつものようにボワ ダルメニをサーチしていたら「疲れ気味の人が惹かれる香り」というくだりを見つけました。

ameblo.jp

ブログや@cosmeでのレビュー, カイエ・モードなどに書かれている文章を読むだけでも「絶対に欲しい!」と思っていたくらいですから、確かに私は疲れているのでしょう。だけど実際にブティックで試した時は、正直に言うと想像していた香りとはだいぶ違うなと思いました。

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ひと嗅ぎ惚れすると思っていたのに・・・・。
ムエットに吹きかけてもらい嗅いでみましたが、「驚くほど繊細なオリエンタルの渦」のインパクトはなく、疲れ気味の人が惹かれる要素もあまり強く感じられませんでした。
だけどこれはもう動物的な勘とでもいいましょうか、この香りを絶賛していた人達の言葉をどうしても信じてみたくなり、購入して帰りました。11月に入ってからはまだ気温が20度を超える日があるほど、関東の秋は温暖です。長い残暑からそのまま冬になるのではないかと思うほど、秋という季節の存在が薄いというか、短い。
で、その温かい季節のままつけてみたのですが、確かにいい香りではあるけど「あそこまで皆が絶賛するほどの香りではないなぁ」という気持ちはブティックでムエットで嗅いでみた時と変わりませんでした。そしてボワ ダルメニの出番はしばしなくなり、同じシリーズのネロリ ウートルノワをつける日々が続いたのです。

ところがやっと秋らしくなり、晩秋の寒さが感じられるようになったころ、ボワ ダルメニを久しぶりにつけてみたら全然違う!来ましたよ!驚くほど繊細なオリエンタルの渦!!!!!そして私がカブトムシだったら、ボワ ダルメニの香りのする樹液が染み出ている木に真っ先にとまるだろう、そして離れないだろううと思いました。樹液、樹脂のような独特の苦みを含んだような甘さがたまらない!

ボワ ダルメニはラールエラマティエールのラインではウッドのグループに属する香りです。

ゲランの調香師は、ベンゾインを燃やしてお香の煙の渦を作るアルメニアの伝統にインスピレーションを得て、アルメニアン・ペーパーの香りを再解釈し、温かく癖になるバニラのアクセントを与えました。


公式オンラインショップより転載)

少し焦げたような甘い香りとインセンスが溶けあったような、温かいんだけど神秘的な香りです。お香の煙の渦から得たインスピレーションも感じられましたが、鼻腔から入ったお香が多少強すぎて喉が痛くなるようなイメージではなく、芯を感じる香り。そこから私が思い浮かべるのはこんな情景。

犬の散歩をしに森まで足を延ばしたら、パチパチと音が聞こえてきました。その音はすぐに焚火によるものだとわかります。その音がする方向に行ってみようかな・・・でも少し怖い。その恐怖心に好奇心が打ち勝って、音のする方に歩いていくと、森の中でおじいさんが何かを焼いています。そしてそこから少し苦みもある甘~い香りが漂ってきました。

Swithland Wood


マシュマロでも焼いているのかな?などと思いながらその様子を見ていると、私と犬に気が付いたおじいさんが手招きをするのです。パチパチという音と、おじいさんが焼いているものから漂う少し焦げたような甘い香り。近づかずにはいられない。ベンゾインとヴァニラの魔力か・・・・。

調香師はアニック・メナード(Annick Ménardo)。アニックさん、一生ついていきます、と思うほどこの香りを愛しています。気に入ったから次は200mlのボトルを買うかといわれると、まだわかりません。トンカ アンペリアルを使ってから決めます。それまでは100mlのこのボトルを大切に使いたいと思います。だけどね、癒されますよ・・・・・ボワ ダルメニ。パチパチ、パチパチ・・・・本当に焚火の音が今にも聞こえてきそう。枯れ葉だらけで黄金色に輝くカーペットが敷かれたような森が目に浮かびそうな、そんな感じ。お守りのように温かみの感じられる香りなのに、神秘的。合法的にトリップできる。だから癒されるんじゃないかな。

次回は同じラールエラマティエールラインのサンタル パオ ロッサのレビューを書きたいと思います。チャオ。

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