羽生結弦選手とオーサーコーチは蜜月を迎えることができるのか

 ちょくちょくチェックしているフィギュアスケートブログの管理人・モロゾンビ様(アメリカの方です)が「精神的なつながりの強かった阿部奈々美コーチのもとを離れてオーサーコーチについたのは残念。でもこの決断の裏には日本のスケ連が絡んでいそうで・・・・」と書かれていましたが、この二人はこのオリンピックシーズンに蜜月を迎えることはできるのでしょうか。



あれは忘れもしない昨年のスケートアメリカでのこと。羽生選手はSPのスコアで世界最高記録を叩きだし、他の選手達を大きく引き離したにも拘わらず、翌日のFSでジャンプのミスが重なり精彩を欠き、2位に終わりました。2位でもすごいけど。
その時オーサーコーチは「これで(ジャッジ達が重要視する)スケーティング技術を磨くことの重要性が彼にもわかったと思う。いい経験になったんじゃないかな」と言いました。
反省するだけなら猿でもできますから、反省をこのように活かして教え子に前を向かせることが大切ですね。
スケーティングスキルを重視するという昨季の採点傾向を、パトリック・チャン選手の得点からひしひしと感じ取っていたオーサーコーチは「四回転の成功率を上げたい」といってオーサーコーチに師事することを決めた羽生結弦選手を、こんな風に見守っていたというわけです。
2012年、初めてシニアの世界選手権に出場し、銅メダルを獲得した羽生選手が、なぜその翌シーズンはフィンランディア杯というB級の国際大会からスタートしたのか謎だったのですが、これは羽生選手だけでなく、スペイン代表のハビエル・フェルナンデス選手という男子のトップ選手を二人同時に抱えるオーサーコーチ流のアイドリングであることがわかりました。
今後公式試合の会場でこの二人の選手に対し、コーチとして平等に時間とエネルギーを配分していくためのペースや舵取りのコツを得るために、余裕を持って臨める大会をコーチとしての練習試合に選んだというわけです。その年の世界選手権、そしてその次の年のソチ五輪という将来の激戦を見据えて。
6分間練習、待ち時間、ウォームアップ・・・二人はそれぞれどんな風にしてあげるのがベストなのかを知る必要があり、しかも二人ともFSでは最終グループで滑る確率が高いため、これはいくらキム・ヨナ選手を金メダリストに育て上げた名匠オーサーとはいえ難しかったでしょう。

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オーサーコーチは羽生選手のことを「何に対してもイエスと言う。そして自分が何に対してイエスと答えているのかわかっていない時もある。だから僕の短縮ダイヤルには翻訳ツールが登録してあるんだ」と言っていました。
これは羽生選手が面倒だから適当にイエス、と言っているのではなく、彼なりにコーチに気を使っているのではないかと思いました。性格的に素直そうだし、コーチを心から信頼しているのでしょう。それにしても意思の疎通が難しいのに、あれだけできるというのはやはりすごいですよ、羽生選手。(おそらく一年経った今はこの言葉のバリアの問題はかなり解消されていると思いますが)だからこそ、意思の疎通にエネルギーを使わなくても済む阿部コーチのもとに留まったら、彼がどこまで伸びて行ったのか見てみたかった気もします。

そんな羽生選手が一緒に練習しているフェルナンデス選手が転ぶと手を差し伸べたり、カナダのジュニアチャンプの選手を可愛がったりする様子は、オーサーコーチから見ても微笑ましく、心が温まるそうです。 また羽生選手のお母様も現地で生活をされているそうなのですが、「彼女はとても静かな人で、自分自身のことをやっている」とコメントしていました。このオーサー氏のコメントを読んでつい「ヨナさんのお母様に比べたら、そりゃ誰でも静かでしょ」と言いたくなってしまいました。親御さんが静かだと、コーチとしてはやりやすいでしょうね。
阿部奈々美コーチの元を去りオーサー氏に師事するという知らせを聞いた時は、大丈夫なのかなぁと思いましたが、今はこうして歩み寄りながらソチ五輪へと二人が描く軌跡を、終点まで見守りつづけたいと思います。

本記事はicenetwork.comの Orser amazed by pupil Hanyu's skill and politeness を引用しました