灰色の空の下で暮らす人々



関東に住むようになってもう随分長くなりますが、雪国で生まれ育った私としては関東には四季ではなく三季しかないように感じます。冬が乾いていて暖かいから、長い秋の後に春が来る感じ。

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雪国に暮らしていた頃は、春の訪れを色々な形で感じることができました。皮膚を突き刺すような寒さが和らいで、毛穴がたるんでくる感じとか、道路を覆っていた水分を多く含んだ雪が消えると漂ってくる、乾いたアスファルトの香り。そして明るくなる空の色。
帰省して驚くのは、やはり雪国の人はタフであるということ。関東で暮らしているうちに私がやわになってしまっただけかもしれませんが、例えば飲み会があるとすると、私は「さすがにこの天気じゃ中止だろうな」と思っても、地元の仲間達は「え?何言ってんの?」って感じで普通に集まるんですよね。
だけどよく考えてみたら、私も昔はそうだった。吹雪の中出かけてたよなぁなんて思うんです。そして厳しい冬を乗り切った人々が、雪解け水で肥沃になっている土地で育てたお米や野菜、果物を実家の両親が送ってくれるので、何の苦労もせずにそれをいただく私。

カリフォルニアに住んでいた頃、ビーチで遊んでいるとそりゃ太平洋が眩しく感じましたよ。でもその太平洋を眺めながら、日本海側の暗い灰色の空の下で、少しでも楽しく生きていこうとしている人々がいることを、ふと思い出してしまうのです。地元の近所の教習所が夜間教習の時間になると、コースの電灯が点灯するのですが、その灯りが空から降ってくる雪をぱぁっと映し出すんですね。
そういう光景や、灰色の空と冷たい空気は、世界中どこにいても思い出すことができるのだろうと思います。

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