町田樹選手はうまく滑ろうと思っていないような気がする



YouTubeで観ただけでぞくぞくしてしまいました。SPなんて涙出てきましたよ。ライブで観たらどんなにすごいんだろう。ちょっと髙橋大輔さんの面影を見た気がします。
音楽に合わせて滑っているのではなく、彼自身が音楽になってしまいました、みたいな。 解説の方も「彼があまりよくないと批評されていたのは芸術面だったけれど、(今では)もう見違えるようですね」とおっしゃっています。自分に足りないものを指摘されたらそれに耳を傾けて、努力する。シンプルなことではあるけれど、誰もができるわけではないんですよね。でも先シーズンの彼の演技を見ていても芸術面で他の選手に劣っているとは思いませんでした。やっぱりこういうスポーツはジャッジの好みで優劣がつけられるのでしょうか。

ショートプログラム

ショートプログラムもフリースケーティング同様に後半に飛んだジャンプはスコアが1.1倍になります。まあだからといってプログラムのこれだけ後の方にジャンプを持ってくるという、体力的にも精神的にも負担の多いプログラム(誰が振付けたんだろう)はすごいですよね。
だけど最後に彼が3ルッツを飛ぶ軌道に入ったのを見てやっと「あ、そういえばジャンプがもう一つ残ってる」と気がつきました。そのくらいスケーティングに引き込まれました。 飛んで滑って、ちょっと格好いいつなぎの動きを入れて・・・っていうつぎはぎみたいなプログラムじゃなくて、もう一瞬たりとも目が離せないプログラムでした。うるっときました。

フリースケーティング

続いてフリースケーティングなのですが、解説の方も言っていらっしゃるようにベートーベンは町田選手にぴったりの選曲ですね。
ベートーベンというと肖像画からして気難しくて、内に秘めた激しい感情を音楽にぶつけたというイメージがあるのですが、その激しさをコントロールしながら氷上で表現してみせることができるのが町田選手だと思います。

激しい感情を垂れ流すのではなく、それを乗せた音楽を引っ張っていけるタイプ。音楽に負けたりしないでしょう。 しかも交響曲第九番ですよ。日本では師走になると至るところで聞こえてくる、不思議と日本人に馴染みの深い曲。
今年の全日本も盛り上がりそうですね。 こうしてスケアメをTV観戦していて思ったのですが、町田選手は一旦音楽が始まったら、練習の成果を出そうとか上手く滑ろうという気持ちをすっかり忘れて、音楽しか聞こえていないような気がします。競技者ですから、スコアはもちろん気にして滑っていると思います。現にあ、やばいと思ったら3Aを2Aにしてきちんと加点を稼げるようにしたりするなどの冷静さはあるのですから。頭は冷えていても、心は熱い男なのでしょう。