「いつか」を待つのはやめよう



パリに行ってみたいけれど、まだ行ったことがない私に、ある女性が「大丈夫よ。パリは逃げたりしないから」と言ってくれました。
確かにパリは待っていてくれるでしょう。私が訪れる頃には、一時間、一日とより長い時間を経て、歴史を感じさせる景観にはさらに深みが感じられるようになっているかもしれません。
だけど逃げるものもあります。

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photo by Salvo.do


昔からの読者の方々は既にご存知のはずですが、私は錦鯉が好きです。なのに「錦鯉の里」に行ったことがないのです。幼い頃は実家から車で1時間ほど走ればあるところだから「いつでも行ける」と思っていました。
で、結局いつでも行けるから今でも行っていません。人間なんてそんなものです。

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だけど私は知っています。「いつでも行けると思ったら大間違いだ」ということを・・・・。錦鯉の里だってもしかしたら突然閉館するかもしれません。

実家に帰省した時に「あのお店に行ってみたい!」と思いついたレストランがありました。ステーキハウスなのですが、名物はサイドサラダにかけられているドレッシングなのです。そのドレッシング目当てのお客で大繁盛していたそのレストラン。
母が運転する車に乗ってそのレストランを探しに行きました。レストランに近づいてきたのはわかりましたが、母の車にはGPSがついていないため、なかなか辿り着けませんでした。
そこで交番でお店の場所を聞いてみたところ「確かそのお店は店主の方が亡くなって、現在は営業していないはずですよ」と残念なお知らせ!
それでもあきらめきれなかった私達は、おまわりさんが教えてくれた道順をたどり、ようやくお店の前に辿り着きました。だけどやはりおまわりさんがおっしゃっていた通り、「店主死去のため、営業を見合わせております」との張り紙がしてあって、お店は営業していませんでした。

その張り紙を見て落胆した母を見て思ったのです。

「この人だっていつかはいなくなってしまうのだ」

親孝行をしなくては、とこんな風に時々焦ります。
いつか親孝行しよう、と思えるのは、親にいつでも会えると思っているから。いつまでも元気だと思っているから。
今日の夜とか、明日いなくなる人達かもしれないのに。