擬似恋愛体験を商品にすることはハイリスク、ハイリターンだ

「お給料は我慢代」と銀座の高級クラブ「ベルベ」の髙木久子ママは言いますが、やはり擬似恋愛体験を商品にする場合、我慢代が高いからお給料も弾むけど、その分リスクも高いなと、小金井市で20歳でアイドルがファンに刺された事件のニュースを見ていて思いました。

マーケティング対象をヲタクに絞るなら、美女というだけでは売れない

このような屈折した思いを抑えきれなくなってしまうような、狂信的なファン(=お金を使ってくれるファン)を持つアイドルというのは、不思議と絶世の美女 タイプではありません。「クラスで5番目くらいに可愛い子」のポジションの方が恋人としてよりリアルに想像しやすいのでしょう。
なぜならアイドルとの擬似恋愛にのめりこんで散財してくれる男性というのは、リアルな恋愛とは程遠い世界に暮らす人達だからです。そんな男性達に例えば北川景子さんみたいな女性が優しく微笑みかけても、「なんで俺みたいな男にこんな美人が優しくしてくれるんだろう」と男性側は警戒してしまいますよね。
でもそこそこ可愛い子だったら、「俺だけの天使になってくれるかも」という期待を抱かせるのにちょうどいい。新橋ストーカー殺人事件の犠牲者である耳かき嬢の女の子も、売上げトップの人気嬢だったけど、誰もが振り返るような可愛い子ではありませんでした。
私が昔働いていた会社に、6歳サバをよんで芸能活動している女の子がいました。ものすごく可愛い子で、オーラが違うんですよ。もう明らかに素人ではない可愛さ。その会社に営業で出入りすることを許可されていた生命レディ達も「うちにつれて帰りたいくらい可愛い!」とお世辞ではなく口を揃えていっていました。
だからこそ私はTVを見ていて「なぜ彼女の足元にも及ばないようなルックスのこのアイドルがこんなに有名になれて、私の会社にいるあの可愛い子が売れないんだろう・・・」と不思議に思ったものです。だけど可愛ければ可愛いほど、美しければ美しいほど売れるわけではない。そこが芸能人という商品の売り出し方の難しさだなと思いました。

「いいんだ。お金を使う相手なんて君くらいしかいないんだから」と言ってくれるファンを持つリスク

好きなアイドルの笑顔を見たりトークを聞いたりするだけで癒される、という風に擬似恋愛の世界に留まっていてくれて、お金だけ使ってくれるファンだけならよいのです。一対複数(アイドル対ファン)でバランスが取れている状態を頭の片隅に置きながら夢中でい続けてくれる人達。
だけどこういう風に、恋愛経験のない男性を相手に商売をするというのは、一方通行の擬似恋愛になってしまいます。
「他にお金を使う相手もいないし、だったら●●ちゃんのために使いたい」と使うことによってその男性も満たされていればよいのです。だけどその夢の世界と実世界の境界線を越えてくるファンは怖いですよ。多分彼らには境界線が見えていない。そして今回の「彼女(アイドル)と触れ合える」空間で起きた事件ですよ・・・。ファンが女性に縁遠そうな男性であるほど我慢代は高い=稼げる、けどその分リスクも大きいのです。

アイドルの恋愛禁止。昔は気持ち悪いと思っていたけど、今ならその理由がわかる

アイドルに恋愛を禁止するケースがあります。AKBみたいにファンの多くがヲタクの場合。
そういうのを昔は気持ち悪いとかださいとか思っていたんですよ。それで熱愛が発覚すると謝罪させたりチームでの地位を降格(笑)させたりする。
冷静に考えれば「こんなに可愛い子にボーイフレンドの一人や二人いて当然だろう」ってわかるのに、なんでわからないのかな?と思っていたのですが、やはり恋愛禁止にしてゴシップを出さないことで「僕だけのもの」「もしかして僕のことを・・・」という希望を抱かせ続けることができるんですよ。
希望を抱いていてくれる限り、カモれるわけじゃないですか。芸能事務所の商売ってそういうものだろうなと思うようになりました。

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