無欲な美女達

どうみても美しさが素人レベルじゃない女性に遭遇したことが2回だけあります。TVを見ていると「なぜこの人が芸能人になれて、彼女達が素人なんだろう」と何度も思ったものです。だけどこの美女達には野心がまったくありませんでしたから、芸能人なんて頼まれてもなりたくなかったのでしょう。この野心のなさが彼女達の共通点でした。

絶世の美女達の共通点 - マリア様はお見通しという記事に登場したミランダ・カーやモニカ・ベルッチは、美しさという諸刃の剣になりかねない恐ろしい武器の使い方を熟知していました。だけど今日の記事で紹介する美女達は、それを使って莫大な富を得ることに興味がありませんでした。

また私が出会った絶世の美女二人は、自分の美しさを熟知はしていても、それをより多くの人間に見てもらうことにも興味を示しませんでした。元ミスワールドのアイシュワリヤー・ラーイ級の美女だと「せっかく美しく生まれたからミスコンでも出てみようかしら」と思いつきますが、今日の記事に登場する美女達はどんどん前に出るとか、上り詰めるとかそういうことが頭になかったようです。

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一人目 美しすぎてボーイフレンドに職業を制限される美女

和香さん(仮名)はすべてのパーツが美しく、またその美しいパーツが見事にバランスよく配置されていた美人です。私が知り合った頃、彼女は二十代半ばでしたから美しさは既に開花していましたが、高校生の頃の彼女を知っている人達に聞いた話だと、高校・大学時代はその稀有な美しさのせいで電車通学がままならず、車での通学を強いられるほどだったそうです。駅構内、電車内で和香さんを見かけてその美しさに心を奪われた男性達が、彼女の後をつけるからで、その美しさは若い頃から別格だったのです。
小悪魔作家蝶々さんや元祖小悪魔の川添明子さん「出会いがないという人達がいることが信じられない。出歩けば必ず声をかけられるのだから」と言っていましたが、外見のレベルだけでいけばあのお二人でさえ比べものにならない美女だった和香さんが、いかに電車通学で苦労をしたのかは想像に難くないでしょう。
彼女ほど美しければ玉の輿に乗ることなど容易でしたが、彼女はそれを選びませんでした。ボーイフレンドは、高校時代からつきあっている、それほど高給取りでもないサラリーマンでした。和香さんはまったくがつがつしておらず、それほどお洒落をしなくても目立ってしまう人でした。
社会人になってからはあれこれ言われなくなったそうですが、学生の頃は「頼むから接客業をバイトにするのはやめてほしい」と彼から懇願されていました。特に居酒屋など男性客が多いところは絶対にやめてほしい、と。
だけど接客業を選択肢から外すと、学生ができるバイトはほとんどありません。遊びたい盛りなのにお金を稼げないストレスからボーイフレンドと喧嘩になり「あれもだめ、これもだめ・・・死体を洗うバイトくらいしか残ってない!!!」と叫んだところ「そんなところでバイトしたら、怖がる君を心配するふりをして周りをうろつく男が現れるからそれもだめだ!」と言われて「じゃあ私はどうやってお金を稼いだらいいの!!!私だってお金は必要なんだから!!!」とキレたそうです。
その時ようやくボーイフレンドは自分の甲斐性のなさを認め、和香さんは好きなようにバイトを選べるようになったそうです。

二人目 ミステリアスな美女

日本がまだバブルに沸いていた頃、母は繁華街の中にある小さなインテリアショップで働いていました。タクシーに乗っても「お釣りはいらないよ」というおじさん達がたくさんいて、そしてタクシーがなかなかつかまらなかったあの頃。母が働いていたお店の周りにはクラブやスナックが多く、そういうお店のママさん達がよく来店してくれたそうです。
ある日母を驚かそうと、当時小学生だった私は母の勤務先に突然顔を出したのです。するとお店には、当時地元では美人で有名だった母以上に美しい女性が来店していました。幼い頃の私にとって、美人と言えばまずは母でした。だけどその母とはまったく質もレベルも違う美女が手にグラスやらコースターをもって立っているのを見て、思わずじろじろ見てしまったのです。
年齢も感情もよめない、冷たくて暗い美女。
「お名前は?」「どこの学校に通っているの?」とすぐに聞いてくる気さくな人以外の大人に免疫のなかった私は戸惑いました。

Cold

その美しい女性客が去った後、彼女が近くのクラブで働く女性であることを母が教えてくれました。当時はそんなことはどうでもよかったのですが、大人になってみて思うことは、あんなミステリアスな美女が働くクラブなら繁盛しただろうなということ。
泥酔したおっさんでもない限り、おさわりなどとてもじゃないけど思いつかない、近寄りがたい美女。仕事や家庭の問題のことを一瞬でも忘れられる非日常の空間を作れるのは、ああいう風にわけのわからない美女だと思います。太陽のように明るいママが迎えてくれる店もいい。だけど深さのわからぬ闇を抱えた美女が醸し出すオーラに包まれて飲むお酒なら、一杯だけで非日常の世界にトリップできそう。


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