「大人になったらこんな風に長い夏休みがなくなるのか。休めたとしてもせいぜい2週間くらいで、それ以外は仕事、仕事・・・。私はそんなハードな人生に耐えられるのかな」
初めてそんな風に考えたのは、中学生の頃でした。そして自分の人生にあと何度この長い夏休みがあるか数えて、憂鬱になっていました。
でも大人になったらなったで、別に悪くないなぁと思いました。
まず大人になってからは、二か月近くも休んでいる経済的な余裕がありません。
もし二か月の休みがとれても、時間があっても金がなくて持て余してしまう可能性があります。きっと飽きます。多分口を開けばワイドショーのことしか話さない女になってしまいますし、夫婦げんかも増えそうです。
だから10日くらい旅に出てリフレッシュして帰ってくる夏休みでちょうどよいのです。自分の身の丈にあった楽しみ方はいくらでも見つけられます。夏だけに限らず、季節の移ろいを身近にある物や空気の匂いから感じて楽しむ術を身に着けて、繰り返される日常生活の中に隠された彩を見出せるようになるものです。
子供の頃の長い夏休みは、親がいてこそ可能だったもの。あの頃はそんなこと考えもしませんでした。髪を切った翌日のラジオ体操(※)に通う時の憂鬱なんて、今思えばどうでもいいことです。
※平成生まれの人は知らないかもしれませんが、昭和生まれの私達は、夏休みに朝のラジオ体操というものがあり、各地域で決められた場所に集まってラジオ体操をしました。そうやってラジオ体操のために早起きすることにより夏休みもきちんとした生活のリズムを保っていました。
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