あ~あ読み終わっちゃった「悪女について」


まずこの本を読みながら考え続けたのは、ドラマ化および映画化をしたら誰に富小路君子役をやらせるかってこと。なのにもう既にドラマ化されていたんですね。君子役はエリカ様だったんですって。違う違う!!!!!!エリカ様じゃ全然あの雰囲気がでないのよ!
だってエリカ様なんて誰が見たって可愛いでしょう?それじゃ駄目なんですよ。

「別に取り立てて美人ではないのに、楚々としていて、妙に男好きするタイプ」

じゃあ蒼井優さんあたり?
違うんだよなぁ・・・・。もうちょっと影のあるタイプ。そして一輪の白百合に例えられるようなタイプ。

先日私が本書に関してツイートしたのをご覧になって、購入された方も何名かいらっしゃいますが、その方達は今現在読んでいてこんなことを考えていませんか?

君子は自殺?それとも他殺?

そして他殺だとしたら殺したのは・・・・。

他殺だとしたら、インタビューに答えた27人の中から犯人を探しているのではありませんか?流れとしてはどうしてもそうなりますよね。私は「もしかして・・・君子を殺したのはこの人かな」と思う人が一人だけいます。
でもね、最後までわからなかったことがあります。それは君子は結局何がしたかったのだろうかということ。美しいものに囲まれて、美しいものだけを視界に入れて生きたかったから、そのためだけにお金をもうけていたのでしょうか?それだけだとは私は思えないのです。
美しいものに囲まれている割には、楽しそうじゃなかった。
確かに本書を読んでいくと、彼女の計算どおりにことが運んでいることはわかりました。再婚相手との夫婦の営みであれだけ大きな嬌声をあげたのだって、結局はあの鉄筋の洋館を建てて、その中に防音設備のある部屋を一つ持ちたかったからであって・・・とか、「そういうことだったのか」って思うことはありました。君子ってすごいなぁと感心しました。

彼女は賢い上に努力家だし、商才もずば抜けていました。完全に成り上がりですよ。有閑マダム達相手にマージャンして、気前良く負け続ける姿とか、なんかこう得体の知れないものを見ている気分になるのです。だけどこのミステリアスさこそが男性を惹きつけてやまなかったものなんじゃないかな。
このミステリアスな富小路君子の謎の死について、推測で色々と書きたてて「悪女の怪死」のように見せようとした週刊誌。だけどインタビューに答える人達の多くは「まさかあの人が悪女だなんて」という人達が多いのです。
だけど本当の悪女ってそんな感じなのでしょうね。見るからに悪そうなんじゃなくって、天女みたいに清らかな風貌をしているんですよ。

 

 悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))