私が敬愛する小説家、山田詠美さんは、残念ながらSNSをいっさいやらない人です。世の中に対し、メディアに対し、極端に露出が少ないのです。だからこそ一年に一度しか発売されない彼女の随筆集を読む楽しみが大きくなります。
デニーズでマンゴー・ザ・サンデー 849円(税込916円)を食べながら吉祥寺デイズ: うまうま食べもの・うしうしゴシップを読む。合計で2,374円(税込)のセルフセラピーです。
ニューヨークの景観をぶち壊している金ぴかのトランプタワーの成金趣味のおぞましさや、芸能界や政界のスキャンダルについて、私が「山田さんならどう考えるのだろう」と思っていたことが書かれていて面白かったです。彼女のファンにとって大切なのはそれが正しいか間違っているかではなくて、彼女ならどう考えるのか、ということ。
そして山田さんは出版不況が今以上に進行して印税だけで生活していけなくなっても、決してお金のためにTVにご意見番として登場することはないでしょう。試しに1クールだけやってみても「無理だ。冷静に考えると恥ずかしすぎてできない」と言ってすぐに降板してしまいそうです。自分が出た番組を録画してコメンテーターとしての自分の仕事ぶりをチェックするなんてこともしないでしょう。
一般的な道徳だけをふりかざしてもどうにもならない、男と女の色んな事情はあります。外野の人間の物差しだけで測ってあーだこーだいってもしようがないこと。著者は不倫を擁護するわけでも推奨しているわけでもありません。そもそも彼女は不倫という言葉が嫌いなのですから。
ゴシップ以外だと、山田詠美さんといえばやはり食!バター、蜂蜜、スパイス・・・それだけでも芳香なのに、食べ物の美味しさまで引き立ててくれるそれらが与えてくれるささやかな悦び。その悦びは山田さんの言葉で表現されると、紙面から香り立ってきそう。画像の力を借りなくても読み手の心に届かせることができる力を持つ文章ってすごいですね。山田さんは、カレーを作る時にまずクミンシードを乾煎りするそうですが、その時に立ち上る香りを「いい男のわきの下の匂い」と呼んでいるそうです(爆)。
余談ですが、読書のお供に食べたフレッシュマンゴーのザ・サンデーは7層くらいになっているんだけど、最下層まで飽きない!!販売期間が終わる前にまた食べたいです。トロピカルな風味なので、じめっとした日に食べて気分転換するのにもってこいです。
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