汗が流れ落ちても立ち上がれないほど漫画本を読みふけった夏


筆者が小学生の頃だったと思います。整理整頓が苦手な母の持ち物は、寝室の押入れに納まりきらなくなり、廊下にあふれ出てしまいました。その中に古ぼけた漫画本が含まれていました。「生徒諸君!」という漫画でした。それを初めて見た時は興味を引かれなかったのですが、休むということに飽きてしまった夏休みのある日、廊下に座りその漫画本を手に取り読み始めました。するとあっという間にはまってしまい、その場から動けなくなったのです。
冷房のついている涼しい部屋で読み続ければいいのに、いちいち立ち上がることもで きないほどでした。そして廊下に座ったまま、汗を垂らしながら読みました。静かな午後で、聞こえてくるのは短い人生を謳歌するかのように鳴く蝉の声だけで した。

Лето, лес // Summertime

ですから今でも漫画本を読むと、あの夏の日を思い出し、童心に帰ることができます。だけど大人になってから漫画を貪るように読むことの幸せは、少し違うのです。なぜなら「時が経つのを忘れるほど何かに夢中になる」ということ貴重さは、子供の時にはわからなかったのですから。それができることがあたりまえのことだと思っていました。
歳をとるのは悪いことばかりではありませんね。

 

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