秋の夜長に・・・・読書の秋におすすめの7冊

今週のお題「読書の秋」

 

夜になるとだいぶ涼しく感じられるようになり、秋の足音が聞えてきました。そこで秋の夜長にゆっくりと楽しんでほしい8冊をシェアしたいと思います。こおろぎの鳴き声なんて聴こえてきたら、最高の読書タイムになりますね。

Silent Night


1.満月

悲恋なのに、読後感は不思議と爽やかであたたかな気分になる一冊です。
泣いてすっきりしたからかな。誰かを愛しぬくという素晴らしさは、その人を失う時の、胸が張り裂けるような痛みを受け入れる強さのある人じゃないと味わえないものなのだと、改めて気づかされる一冊です。

レビュー記事 ”当たり本第一位 せつない恋愛小説ならこれ - マリア様はお見通し


2.ラブレス

最初は登場人物の関係がつかみづらくてストーリーがわかりにくいのですが、途中から引き込まれること間違えありません。
家族同士、いえ家族だからこそぶつかりあったり、憎み合ったりしても、不器用ながらも互いを思いやる姿に色々と考えさせられます。釧路の温泉街の様子が目に見えてくるような描写も素晴らしかったです。

レビュー記事:"幸せの味は人それぞれ - マリア様はお見通し


3.ある華族の昭和史ー上流社会の明暗を見た女の記録

一人の女性の人生というフィルターを通して見る裏近代日本史は面白かったです。その女性というのは、淑女の二文字を見るとこの人を思い出してしまう、故酒井美意子さん。

"ピラミッドの頂点にいる淑女達 - マリア様はお見通し" という記事でも触れましたが、やはり華族という特権階級ですから、皇族と自分達以外=平民は家畜か何かだと思っているんじゃないかと感じてしまうような表現もありましたが、、まあそれは平民のひがみなのでしょう。
華族がまだ存在した頃の日本史は面白かったし、華族出身で箱入りと思いきや、著者の酒井氏がしっかりと自立していた女性であることに驚きました。「お嬢様だから何にもできなーい」というような女はおそらく偽物なのでしょう。

4.おそめ

裏近代日本史を面白くしてくれた女性シリーズその2。
まず表紙を見て「なぜそれほど美人ではないおそめママが、政界の重鎮や文豪達の寵愛を受けて銀座にクラブをオープンできたのだろう」という興味を持ちました。


はんなりとした京女の魔力・魅力なのか、それとも・・・・と推測しましたが、おそめママが、言葉は悪いけれど"やらずぼったくり"できたのは、彼女が醸し出す、その浮世離れした空気なのではないかと思います。清らかで男性達の保護本能をかきたてる部分もありました。
おそめママの生い立ち、京都→東京進出を読みながら裏近代日本史の絢爛さに触れることのできる一冊です。

5.安井かずみがいた時代

裏近代日本史を面白くしてくれた女性シリーズその3。
歴史の流れでは酒井美意子さん→おそめママ→安井かずみさんという登場順序です。
「パリに洋服を買いに行ってきます」の書置きを残して結婚生活を終わらせた女のいた時代について、読みたいと思いませんか?


静止画しか拝見したことはありませんが、とにかく洗練されていた大人の女性だったのだというイメージが本書から伝わってきます。そして彼女の最大の魅力は"陰"の部分だったと私は思います。

レビュー記事:"自分の美意識に苦しめられた才女達 - マリア様はお見通し"

6.シモネッタのデカメロン

電車で読まないでください。
イタリア語通訳、エッセイストの田丸公美子氏による抱腹絶倒のエッセイです。田丸氏が通訳時代に実際に遭遇した男と女の珍事件や面白エピソードについて書かれているのですが、タイトルのとおりシモネタが多いのでそういうのが苦手な方にはおすすめしません。だけどそのシモネタがさらさらっとしているんですよ。下品にならないのは著者の知性の成せる技。

 

おすすめは男性器の形をしたマカロニ、「マラロニ」のエピソード!
お土産に注文しようと電話をしてみると「黒、白、肉色のどれにしますか?」と淡々と田丸氏に質問してくるオペレーターと、戸惑う田丸氏。この様子を想像するだけで涙が出てきました。
尚このマラロニには「ゆですぎると柔らかくなり、落涙の原因になります」などの説明書きがついてくるそうです。このエピソードをはじめ、とにかく男と女の、イタリアならではの笑えるドタバタ劇はたくさん笑って頭を休ませたい人におすすめです。

7.小さなスナック

これも電車で読まないでください。
毒を欲している昭和生まれの人におすすめの一冊です。そしてとにかく笑える!

コラムニストである故ナンシー関氏とリリー・フランキー氏による、TV番組や芸能人に関する対談をまとめたものです。本書に出てくる芸能人は平成生まれの人達にはほとんどわからないんだろうなぁ。

二人ともゆる~く語っているように見えるけど、かなり鋭いんですよ。だからさらっと話しているようでも「今あなた、かなり毒づいたよね?」という場面が多々あります。もうそれが面白いんですよ。ナンシーさんは毒舌をエンターテイメントに昇華させることができる稀有な人でしたね。
そして散々笑った後に、リリー氏のあとがきで泣かされます。

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