債権者には悪いけど、破産してしまえ、と思う

今日の記事に出てくる債権者にはうちの親も含まれています。 あちこちから秘密を共有させられるのがつらい時期がありました。あちこちっていっても家族なんですけど。

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photo by theamericanroadside


久しぶりに帰省した時の話です。父が駅まで迎えに来てくれて、そして実家に到着し、明かりの灯る台所に行って引き戸を開けると、そこには母と弟の友達がいました。母は椅子に腰掛け、弟の友達D君は立っていました。
二人は私を見た瞬間話をぴたっとやめました。母とD君がどうのこうのというのとは全く違います。そっちを期待した方ごめんなさい。

何を話していたのかはわからないけど、私は邪魔であることが明らかでした。D君は私の弟に会いに来たわけではなく(弟はその時不在でした)、母に話があってきた。そしておそらく父が私を迎えに出かけたのを狙って、D君は母に話を持ちかけたのだと思います。となると・・・・もうお金の話しか考えられませんよね。

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D君は私に「久しぶり!」と精一杯明るく挨拶したし、私も挨拶したけど、ぎこちないものでした。
翌日母と二人で飲みに行った時、秘密を一人で抱えていられなくなった母が切り出しました。

「実はD君にお金を貸しているの」

「やっぱりそうなんだ」

「なんで知ってるの?まさかサル(私の弟)からきいたの?あの子、知ってるの?」

母の顔色がみるみる蒼くなっていきました。

「違うよ。昨日私が台所に私が入っていった時、なんかちょうどまずいところに来ちゃったなぁって感じたの。大切な話でもしていたのかなぁって。だとしたらお金の話でしょ」

D君は事業に失敗し、母の他にも色々なところからお金を借りていました。その中には私の弟以外の友達のご両親も含まれていました(母はそれは知らない)。もう貸してくれるところ(銀行、消費者金融)がないから、幼馴染の親に泣きついてきたのでしょう。闇金にまで手を出したかどうかはわかりませんが。

D君、ずるがしこいなあ。自分の子供は、いくつになっても自分の子供なのです。そんな可愛い子供の幼馴染に金を貸してといわれたら断りにくいという親の心理につけこんで、お金を借りていくわけですから・・・・。

「でもさ、うちに借りたところでたかが知れてるでしょ。事業の運転資金にはとてもじゃないけど足りないよね。ってことは生活資金を貸してるの?」

「うん」

「じゃあ返ってこないね・・・・」

奥さんや子供の生活をなんとかするため、そして知人達からの催促から逃れるため、東京に出稼ぎに出ていたD君。奥さんは借金のことを何も知らないそうです。そこまで膨らんだ借金のことを妻が何も知らないなんて、そんなことがありえるのだろうかと私は不思議に思いました。

私と夫が関東に帰る日、弟が新幹線の駅まで送ってくれました。その車中で弟がD君の話をし始めました。

「なあ、Tって覚えてる?」

「覚えてる。どうかしたの?」

「あいつの親さ、Dに金貸して返ってこないっていうんだ。催促しようにも連絡がつかない。そういう風にDを追いかけている人、Tの親の他にもいっぱいいるの、俺知ってるんだ。
だからみんな俺にDの居所を聞くんだけど、俺そんなの教えられないし。あ、これ母ちゃんと父ちゃんには内緒な」

内緒もなにも・・・・母ちゃんも金を貸している人の一人だよ・・・・。
母ちゃんには「お金を貸していること、サルには言わないでね」と言われ、弟には「あいつが借金返せなくて逃げ回っていることは内緒な」と言われ、はあ・・・としか言えない私はこう思うのです。

D君、もう自己破産してしまえ、と。

逃げ続けられるわけがない。
奥さんやご両親を泣かすのが怖いのかもしれない。でも命があればやりなおすことはできるのだから。