うまいこと「あがった」高級娼婦達



「私とあなたの違いは、先祖がギロチン台にかけられた人間か、それともその台を囲んで歓声をあげていた人間なのか、それだけよ」

自分の出自を嘲笑した貴族出身の女性にマダム・クロードが返した言葉です。書籍がもう手元にないのでうろ覚えになってしまいますが、確かこんな感じだったと思います。
自分を見下した貴族の女性にこんな風に淡々と切り返すことができるマダム・クロードとはいったい誰なのでしょう。




マダム・クロードはパリの高級娼婦館の女主人で、著書を読む限り、裏社会の妖しげな香りを漂わせた大人の女性といったところです。この高級娼婦館を利用するには、そこを利用したことのある人の紹介が必要でした。マダムの商品である高級娼婦達と遊べるのは、政治家や財界人、有名俳優達といったそうそうたる顔ぶれで、また娼婦達も選りすぐりの美女達ばかりでした。美しいだけではなく、乗馬や狩猟をたしなみ(顧客とともに楽しむため)、アートを愛で、そして知性や教養も備えていました。
そんな美女達の中にはうまいことこの館を「あがった」女性もいるそうです。例えば本書では名前は絶対に明かされませんが「え?!あの女優もマダム・クロードの館の出身なの?!」と言うような大女優も実はそこをあがった元高級娼婦だそうです。うまいことあがった娼婦達の次のステップは女優だけではありません。政治家や貴族の妻というポジションについた娼婦もいます。
ギリシャの大金持ち、タキ氏の著書「ハイ・ライフ (知恵の森文庫)」で、タキ氏もこのマダム・クロードの高級娼婦館、そしてこの館を巣立って行った美女達について少し触れていました(おそらくタキ氏も顧客だったのでしょう)。タキ氏いわく、顧客と結婚した娼婦や、あるいは顧客であった実力者の援助によって女優として成功した娼婦達には共通点があるそうです。

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彼女達がマダム・クロードの館をあがり、華やかな表社会のトップで新しい人生を歩み始めて、昔の顧客達に再会したとします。すると彼女達は皆同じことをする。 これが共通点です。 続きはタキ氏の著書を読んでいただきたいのですが、私はその部分を読んだ時「なんだその程度のことか」と拍子抜けしてしまいました。 だけどその拍子抜けするほどあっさりとしたひとことには、実は多くのことが集約されていたのです。彼女達のこの行為はマダム・クロードのもとで働いていた頃に培われたビジネス感覚があってこそのものなのでしょう。

「ビジネスに徹する」

シンプルだけど、彼女達が裏社会の高級娼婦から、社交界の華に成り上がることができた理由は、これに尽きると思いました。

マダム・クロード愛の法則―パリ高級娼婦館女主人の告白 (知恵の森文庫)
その続きを、詳細を読みたいんだけどなぁ・・・というところが曖昧にされる部分が多いため、物足りない部分があるという事実は否めませんが、マダム・クロードの生い立ちの部分も含めて引き込まれますよ。

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 裏社会を覗いてみたい人には物足りないけれど、安っぽいパッケージからは想像もつかないようないいお話です。愛する男性の近くで生き続ける手段として高級娼婦の道を選んだ女性のお話で、どうやら実在した高級娼婦をモデルにしたお話のようです。
騙されたと思ってとりあえず見てみてください。泣ける。

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