貢ぐことで救われる人もいる



Sさんという友人と、お互いの初めての一人暮らしの思い出話をしていた時のことです。 彼女が社会人になって一人暮らしを始めることになった時、おばあちゃんからものすごい金額の支度金をもらったそうです。私がその金額を聞いて羨ましがったら、Sさんは冗談っぽくこう言って笑いました。

「うちのおばあちゃん、結構貯めこんでたんだよね。でもおじいちゃんが亡くなって寂しくなった時にさ、宗教にはまっちゃったの。その宗教に注ぎ込んだ分も私の支度金に回してくれればよかったのにーって思ったよ」

その宗教に入会していたのはSさんの家族ではこのおばあちゃんだけだったため、おばあちゃんが亡くなった際、その宗教の教えで決められたお葬式はせず、代々続いていた浄土真宗のお葬式をあげたそうです。

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すると後日、喪主を努めたSさんのお父様は、そこの会員達にそのことをよってたかって非難され、おばあちゃんはこんな人達と同じものを信じていったい何が幸せだったのだろう、とSさん達家族は不思議でしかたがなかったそうです。

何もそんなに注ぎ込まなくても・・・と家族の誰もが生前思っていたことでしょう。 だけど仲良くしていたおじいちゃんに先立たれて、寂しくてしようがなかった時に勧誘されて入ったその宗教に貢いでいる時、なんともいえない高揚感が得られて、その時だけは寂しさを忘れることができたのではないでしょうか。
弱っている人間にとって、近くにいる優しい家族がかけてくれる言葉の温かさよりも、宗教みたいにわかりやすい光の方に導かれて行ってしまうのは無理もないのかもしれません。

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