「初めて」のストックは誰でもいつか使い果たしてしまう



先日近所のスーパーに買い物に行ったのですが、その日は2,3点しか買わなかったため、レジの男の子が会計をしながらその場で袋に入れてくれました。そして私が「ありがとうございます」と言ったらそのバイトの男の子は手を止めて、驚いたように顔をあげて私を見ました。
目があった私も驚いて「何か変なこと言いましたか?」と思ったんだけど、私が思うに、多分この男の子は自分の仕事としてあたりまえのことをしただけで、そしてそのことにたいしてお礼を言われることが今までなかったのだと思います。客も「それはあなたの仕事だから、私はやってもらって当然」と思っている。

「こんな風に言ってもらった/してもらったのは初めて」という経験から得られる驚きや喜び、感動は、あらゆる人間関係において大切なことです。家族、友人同士、恋人同士。初めてを積み重ねていく喜び。だけどいつかその「初めて」のストックは、同じ相手に対しては確実に底を尽きます。もともとストックが少ない人と多い人がいるのは確かですが、誰でも確実に在庫切れになります。

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photo by Benson Kua


人間関係の土台が作られるのは、そこからなんじゃないかなぁと思います。ストックが尽きたところからが勝負というのかな。
例えばつきあって長いカップルや夫婦なら、パートナー以外の人に与えられた「初めて」に感動してよそみをしてしまうこともあります。だけど結局そのよそみをした先の相手だって「初めて」のストックに限りがあります。だからこそそのストックが尽きた時のことを恐れながら、びくびくつきあうようなことはしたくないのです。
一日24時間あったら、そのうちのほとんどを眉間にしわを寄せて常に「初めて」のストックの枯渇を心配して過ごすよりは、自分の周りにいる人達に「こんなの初めて」を与えながら過ごしていた方がいいです。