浅田匡子さんが真央さんに授けたもの

2008年2月、韓国の高陽で行われた四大陸選手権の表彰式で、優勝した浅田真央選手の名前が呼ばれた時に起きたのは、まばらな拍手。

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キム・ヨナ選手が2007年3月に東京で行われた世界選手権のショートプログラムで会心の演技を見せた時、日本の観客は彼女にスタンディング・オベーションを送りました。日本人はそういうことができる(一部のファンを除いては)国民だけど、韓国人は国民の妹のライバルに対し、こうも冷ややかになれるものなのかと失望したのを覚えています。キム選手を愛すればこそ、なのでしょうけれど。
話を四大陸選手権に戻すと、2位のジョアニー・ロシェット選手、3位の安藤美姫選手の名前が呼ばれた時は、浅田選手へのあてつけのように大きな拍手が送られました。だからこそ浅田選手への拍手の小ささが際立ちました。
そしてその10か月後に同じく高陽で行われたグランプリファイナルは、ついに韓国での浅田選手vs国民の妹の対決が実現し、浅田選手は完全アウェイの中で闘い、そして勝ちました。そんな四面楚歌の状態で勝利した彼女をホームで待っていたものは温かな歓待ではなく、フジテレビのとくダネ!による偏向報道。

やれヨナ選手の方がスポンサーが多いだの、衣装のセンスがどうだの、ヨナがミスしたから勝てただの。スポーツにたらればはありません。誰かがミスしたからこの人が勝った、のではなく、勝った人が強いのに。
この報道の不自然さがわからない人のために書きますが、これは例えばなでしこジャパンが世界選手権で優勝した次の日に、祝賀ムードゼロで粗探しに時間を費やし、決勝戦で戦ったアメリカを持ち上げる内容を放送するのと同じくらい不自然なことです。まぁなでしこが優勝した時にそんなことをしたマスコミはいませんでしたけどね。
浅田選手の時はあったってことは、大きな力が動いたのでしょう。マスコミってやっぱり視聴者や読者のために存在するのではなく、スポンサーのために存在しているんだなとつくづく思いました。
そしてそのことを一ファンが今でもこんなにねちねち書きながら根に持っている間も、浅田選手は前を向いて練習し続けている。立ち止まったこともあったけれど、恨みつらみは言わない。
浅田匡子さんが真央さんに授けたものはたくさんあるだろうけれど、この強さと潔さもその一つなのだと思います。ママオ、頑張れ!