静謐な色香 サンタルパオロッサ

もうこんなに愛せる香りとは巡り合えないだろうと思っていても、来年の今頃にはもっと素晴らしい香りに出会っているのでしょうね。だけど今のところはこの香りに心を奪われ、溺れることを楽しんでいます・・・。ゲランの高級ライン、ラールエラマティエールの一つ、サンタル パオ ロッサという香りです。

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@cosmeではあまり評価や感想がよくなかったのですが、他人が見向きもしない香りでも自分にとっては素晴らしい香りである可能性はあるのだということを学習しました。よくもまあこれを香りとして完成させて表現できたよなとうなってしまう香りです。透明感があってしかも高貴な香り。

調香師は、既に当ブログでご紹介した同シリーズのネロリ ウートルノワと同じくDelphine Jelk(デルフィーヌ・ジェルク)。2本続けてストライクゾーンのど真ん中ということは・・・彼女と相性がいいのかなぁ。だけどしゅっとひとふきして思わず声を漏らしてしまったフレグランスはこれが初めてです。声になっていなかったといった方がよいか。
そもそもネロリウートルノワをゲランの公式オンラインショップからブラインドバイした時に送られてきたサンプル(2種類選べる)の一つがサンタルパオロッサで、それを試してみて「ネロリウートルノワよりもこっちが好きだわ!」と思ったほどです。

サンダルウッドの力強さがバラの花びらの優しさに包まれて、自然が芸術へと変わります。樹皮と花の間には、カルダモンが奏でる爽やかでスパイシーな序曲と、沈香とミルラの香りのダークなベースがあり、コントラストのあるスコアが支えています。

(公式オンラインストアから転載)


まずカルダモンの爽やかなオープニング。ここで好き嫌いは分かれると思います。そしてトップからベースまで共通しているのですが洋の東西でいったら確実に東(オリエンタル)なんだけど、ミルラや沈香が静かに肌の上で漂うせいか、極東ではなく中東の方ですね。クリーミーなサンダルウッドにはイチジクとヘーゼルナッツも加えられているそうですが、時々香る柔らかな青さはイチジクなのかしら。
それではここから先は、筆者がツイッターでサンタルパオロッサの感想を検索して共感したものをシェアし、筆者のコメントを追加していきます。


【コメント】そうなのです!まさに厳かな寺院!疲れ切った魂、病める魂が静寂を求めてたどり着いたような、聖域みたいな・・・。あと時間帯で言えば夜明け前かな。夜が終わってしまう時の暗さ。これから夜が始まる!というエキサイティングな闇ではなくて。


【コメント】高貴という表現はぴったり。そして私もこの香りは成熟した女性に似合うと思いました。この点では同コレクションのドゥーブルヴァニーユと同じ。年齢的には30代後半以上の女性に似合うかなと思いました。公私ともに経験値がそれなりにあって切磋琢磨して風格があるんだけど、威圧感のない女性。ちょっとミステリアスな女性に似合うでしょう。


【コメント】同じ香りを嗅いでも、感じ方は本当に千差万別ですし、その香りに含まれているはずのノートも人によってはまったく香らなかったりするのですが、私はこの蛇口から香水様の感想とほぼ同じですね。95%一致します。特に朝露に濡れたバラの絵だを切ったようなシャープさとグリーンというところ。
ゲランのブティックの美容部員の方はクリーミーで美しい香りと絶賛していましたが、私はどちらかというとシャープでグリーンで瑞々しくやや冷たい甘さだと思いました。こんな風に受け止め方は人によって違いますから、実際につけてみて購入することは大切です。


【コメント】爆笑しました。語彙が死んでしまうお気持ち、よくわかります!カルダモンの清涼感とクリーミーなサンダルウッドに圧倒されつつも、やはり影に甘さがあって、沈香、ミルラがこんな風にからんでくるのか、と思いました。そしてフルーティーという表現はよくわかります。このEDPのロゼワインのような色にぴったりで、とにかく透明感があって瑞々しい、青い甘さが漂うのです。

【コメント】「ここは寺・・・?(G6な)」で吹き出してしまいました!!!Ginza6のブティックのカウンターにいながら、サンタルパオロッサを嗅いだ瞬間もうそこが寺になってしまう感じがよくわかります!そしてやはりpipipi様も高貴と表現されていますね。そして心が落ち着くのは贅沢に使われた質の良いサンダルウッド、そしてひっそりと香るミルラ、沈香が鍵を握っているのではないでしょうか。

筆者は40代ですが、この香りは周囲からも好評ですが、「女の子じゃなくて、女の人の香りって感じ」だそうです。静謐な色香のように漂う、サンタルパオロッサ。ちなみにボトルはカスタマイズしてよかったと思います。以前はあまり興味がなかったのですが、この香りにふさわしいボトルにしてみたら、やっぱりつける時に気分が高揚しますね。画像だとわかりにくいと思いますが、キャッププレートはバーガンディー、スレッドはグリーン、シールはゴールドにしました。中身のリキッドの色との相性が最高♪

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cantfoolme.hatenablog.com
外部関連ページ

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なぜボワ ダルメニという香りは疲れている人に求められ、愛されるのか

今週のお題「買ってよかった2021」

ついに購入しました!今年の春からずっと気になっていたボワ ダルメニ

アルメニアの森、という意味の名前を持つこの香り。購入前は数か月もの間散々ウェブでサーチを続け、「そんなに調べまくっているくらいならさっさと買えばいいのに!」と何度自分で思ったことか・・・。そのくらい時間をかけてサーチしていたわけですが、すればするほどボワ ダルメニへの思いは募りました。
そしてある日いつものようにボワ ダルメニをサーチしていたら「疲れ気味の人が惹かれる香り」というくだりを見つけました。

ameblo.jp

ブログや@cosmeでのレビュー, カイエ・モードなどに書かれている文章を読むだけでも「絶対に欲しい!」と思っていたくらいですから、確かに私は疲れているのでしょう。だけど実際にブティックで試した時は、正直に言うと想像していた香りとはだいぶ違うなと思いました。

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ひと嗅ぎ惚れすると思っていたのに・・・・。
ムエットに吹きかけてもらい嗅いでみましたが、「驚くほど繊細なオリエンタルの渦」のインパクトはなく、疲れ気味の人が惹かれる要素もあまり強く感じられませんでした。
だけどこれはもう動物的な勘とでもいいましょうか、この香りを絶賛していた人達の言葉をどうしても信じてみたくなり、購入して帰りました。11月に入ってからはまだ気温が20度を超える日があるほど、関東の秋は温暖です。長い残暑からそのまま冬になるのではないかと思うほど、秋という季節の存在が薄いというか、短い。
で、その温かい季節のままつけてみたのですが、確かにいい香りではあるけど「あそこまで皆が絶賛するほどの香りではないなぁ」という気持ちはブティックでムエットで嗅いでみた時と変わりませんでした。そしてボワ ダルメニの出番はしばしなくなり、同じシリーズのネロリ ウートルノワをつける日々が続いたのです。

ところがやっと秋らしくなり、晩秋の寒さが感じられるようになったころ、ボワ ダルメニを久しぶりにつけてみたら全然違う!来ましたよ!驚くほど繊細なオリエンタルの渦!!!!!そして私がカブトムシだったら、ボワ ダルメニの香りのする樹液が染み出ている木に真っ先にとまるだろう、そして離れないだろううと思いました。樹液、樹脂のような独特の苦みを含んだような甘さがたまらない!

ボワ ダルメニはラールエラマティエールのラインではウッドのグループに属する香りです。

ゲランの調香師は、ベンゾインを燃やしてお香の煙の渦を作るアルメニアの伝統にインスピレーションを得て、アルメニアン・ペーパーの香りを再解釈し、温かく癖になるバニラのアクセントを与えました。


公式オンラインショップより転載)

少し焦げたような甘い香りとインセンスが溶けあったような、温かいんだけど神秘的な香りです。お香の煙の渦から得たインスピレーションも感じられましたが、鼻腔から入ったお香が多少強すぎて喉が痛くなるようなイメージではなく、芯を感じる香り。そこから私が思い浮かべるのはこんな情景。

犬の散歩をしに森まで足を延ばしたら、パチパチと音が聞こえてきました。その音はすぐに焚火によるものだとわかります。その音がする方向に行ってみようかな・・・でも少し怖い。その恐怖心に好奇心が打ち勝って、音のする方に歩いていくと、森の中でおじいさんが何かを焼いています。そしてそこから少し苦みもある甘~い香りが漂ってきました。

Swithland Wood


マシュマロでも焼いているのかな?などと思いながらその様子を見ていると、私と犬に気が付いたおじいさんが手招きをするのです。パチパチという音と、おじいさんが焼いているものから漂う少し焦げたような甘い香り。近づかずにはいられない。ベンゾインとヴァニラの魔力か・・・・。

調香師はアニック・メナード(Annick Ménardo)。アニックさん、一生ついていきます、と思うほどこの香りを愛しています。気に入ったから次は200mlのボトルを買うかといわれると、まだわかりません。トンカ アンペリアルを使ってから決めます。それまでは100mlのこのボトルを大切に使いたいと思います。だけどね、癒されますよ・・・・・ボワ ダルメニ。パチパチ、パチパチ・・・・本当に焚火の音が今にも聞こえてきそう。枯れ葉だらけで黄金色に輝くカーペットが敷かれたような森が目に浮かびそうな、そんな感じ。お守りのように温かみの感じられる香りなのに、神秘的。合法的にトリップできる。だから癒されるんじゃないかな。

次回は同じラールエラマティエールラインのサンタル パオ ロッサのレビューを書きたいと思います。チャオ。

www.guerlain.com

細木数子さんと聞いて思い出すエピソード なぜか許されるホリケン


先日細木数子さんが亡くなられて、ウェブニュースで久しぶりにお名前を見かけて思い出したエピソードがあります。
細木さんは「幸せってなんだっけ~カズカズの宝話~」というテレビ番組に出演されていて、ネプチューンの三人もレギュラーメンバーでした。

ある晩の放送で、細木さんが唐突に「私の美肌の秘密、知りたくない?」とネプチューンのメンバーや司会の徳光和夫さんに話を振りました(普通は自分からそういうこと聞きませんからね)。誰もそんな質問が来るとは思っていなかったようで一瞬静まり返りましたが、名倉潤さんと原田泰造さんはその後すぐに顔を見合わせて「あ、ああ・・・知りたいよな!な?!」と話を膨らませようとしました。

ところがホリケンさんときたら、二人が頑張っている間も全然関係ない方をぼ~っと見ていて、誰かにつんつん、と突かれてやっと自分も細木さんを持ち上げなくてはいけないことに気づいたらしく、名倉さんや原田さんが話の流れをこっそりフォローしてあげてホリケンさんはここでようやく「うん!うん!」とリアクションし、話についてき始めたようでした。 
ところが細木さんはホリケンさんのこの態度に対して不機嫌になるわけでもなく、嬉しそうに美肌の秘訣を話し始めたのです。これを見ていて私は「きっとホリケンさんはこういうことをしても許されるキャラクターというか地位を既に築き上げた人なのだろうな」と思いました。愛されキャラとも違う、なんというか、とにかく得なキャラクターですよね。

 

贈り物にもおすすめ ペンハリガンのクラシックコレクション

ラトリエデパルファンの公式オンラインストアで取り扱われているペンハリガンのオンライン限定アイテムで、10mlx3種類の入ったクラシックコレクションとフローラルコレクションがあります。
日本では女性にも男性にも圧倒的にフローラルコレクションが人気がありそうですが、筆者はオリエンタルやウッディが好みなので、迷わずクラシックコレクションを購入しました。

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素敵でしょ?温かさを感じさせるこのパッケージングの色合い・・・クリスマスプレゼントにもおすすめです。

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クラシックコレクションの内容は:

  • ハルフェティ
  • ルナ
  • ザ トラジェディ オブ ロード ジョージ

の3種類でそれぞれ10ml。

 


それぞれの感想ですが、ルナはなぜ日本ではこの香りがペンハリガンの一番人気なのか私には最後まで理解できませんでした。そんなにいいかな?ちなみにルナはフローラルコレクションにも含まれています。ペンハリガンは日本市場ではこのルナをゴリ推ししているようですね。
続きましてハルフェティ

魅惑的だけどイノセントな一面も覗かせるなんともいえないミステリアスなバラのフレグランス

Eyes as deep as the Arabian Sea

突然知らない少女の画像をアップしてしまいましたが、こういうイメージなの!彫りの深いエキゾチックな顔立ちの美女につけてほしい香り。だからどんなにこの香りに心を奪われたところで、私には似合わない(号泣)。

遙か彼方、夢見る地へと誘うブラックローズの香り。 トルコの小さな村、ハルフェティを流れるユーフラテス川のほとりに咲くブラックローズ。優雅で神秘的、かつ希少なローズにインスパイアされた芳醇な香りは、離れがたい温もりとミステリアスな雰囲気をただよわせ、誰もが酔いしれるほどに魅惑的。

(ラトリエデパルファンの商品ページから引用)

この製品詳細紹介文のとおりの香りです。ただ人によってはお香の匂いが充満するエスニック雑貨屋のように感じるかも。でもそこで「これはちょっときついかな」と切り捨てないでください。「離れがたい温もりとミステリアスな雰囲気」がゆっくりと顔を出すのを根気強く待ってください。そしてそれが顔を出したと思うと、時々ふとなんともいえない透明感のある香りも顔をのぞかせます。だから筆者はエキゾチック美女というより美少女を連想してしまいました。ところが驚いたことに、このハルフェティという香りは、ペンハリガンのクリスマスコフレでは女性用と男性用のコフレの両方に含まれているんですよね。この香りがユニセックス・・・・?似合う男性がいたらお目にかかりたいものです。


かなり濃く、そして長く香ります。外出の30分前までにはつけておいた方がよいでしょう。腰のあたりに。

私の個人的なバラのフレグランスランキングは:

1位:ナエマ (ゲラン)

2位:ハルフェティ (ペンハリガン)

3位:ローズバルバル (ゲラン)

ですね。今のところ。今後もっと素晴らしいバラのフレグランスに出会うまでは・・・・。

Rose

香調:ウッディ フローラル
調香師:クリスチャン・プロヴェンザーノ(参考:カイエ・デ・モード

この香りに漬け込まれて窒息死したら天国に行けそう ザ トラジェディ オブ ロード ジョージ

その名も「ジョージ卿の悲劇」という香り。ジョージ卿にどんな悲劇があったのかはわかりませんが、これは大人の男につけてほしい。辛酸をなめた、修羅場もくぐった年輪を感じさせる渋い男に。これは75mlのフルボトルを買って夫につけさせたいですね。
私がこの香りからイメージしたのは、シックで渋めの男性がメイン州の趣味の良い邸宅にある暖炉のそばで読書をしている姿。Anderson Cooperとかどうかしら。

香調: ウッディ アンバリー フゼア
キーノート: ブランデー/シェービングソープ/トンカビーン
調香師: アルベルト・モリヤス

PENHALIGON'S(ペンハリガン)|クラシック コレクション|香水・フレグランス|ラトリエ デ パルファム 公式オンラインストア

帆船のデッキが目に浮かんでくる・・・ペンハリガンの”ロタール”

このトワレをスプレーしてまず目に浮かんだのが、潮風にさらされ大海原の湿気をはらみ、酔っぱらった船員達がうっかりこぼしてしまったリカーが染み込んだ帆船のデッキ。経年によってなんともいえない風情があり、重厚感のあるデッキの香りです。ウッディなフレグランスはあまり興味がなかった筆者ですが、ウッディにはまるきっかけとなった香りとも言えます。

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地中海から紅海を経てアラビア海へと疾走する帆船が目に見えてくるようで、まるでVR旅行をさせてもらっている感じ。コロナ禍の中で出会ったからこそ強く惹かれるフレグランスと言えます。

調香師:ベルトラン・ドゥショフール

香りのタイプ:ウッディ 香調:フゼア  (・・・??とラトリエデパルファンのサイトでは表記されています)

19世紀末、海洋貿易の拠点として栄華を極めたロンドンにインスピレーションを得たコレクション、TRADE ROUTES〈トレードルート〉のひとつ。 実存したティー・クリッパー(紅茶を運ぶ帆船)の名を付けられたロタールは、爽やかな刺激とウッドの深み、そして優美でモダンな印象を残す、アロマティックなフレグランス。 まず鼻をくすぐるのは、グレープフルーツとジュニパーの爽快なコンビネーションと潮風を思わせるソルティーな香り。やがて、スモーキーな紅茶、グリーンでまろやかなフィグミルク、芳醇なマグノリアの花が大胆にとけあい、ベースノートでは、アンバーグリス、シダー、ウェンジウッドと、贅沢なウッドが広がり、世界中を旅したエレガントな帆船のデッキへと誘います。

(ラトリエデパルファンの商品ページより引用)

 

筆者の肌の上ではスモーキーな紅茶は残念ながらあまり感じられませんでしたが(このノートを楽しみにしてたのに・・・)、トップの清涼感のある香りから、ややビターな落ち着いた甘さを含んだウッディな香りへの移り変わりの美しさにはうっとりしてしまいました。しかもEDTなのに香りがかなり長く持続します。4時間くらいは香っていたかなぁ。
私が暮らす関東の気候を考えると、3月~5月に使ったら気分が盛り上がる香りです。その季節の太平洋側の海の穏やかさや明るさにぴったりだと思うので。真夏に使ってもよいかな。

【PENHALIGON'S】 ペンハリガン ロタール オードトワレ|香水・フレグランス