マリア様はお見通し

普段は何も見えていないふりをしながら、善人面して静かに暮らしています

敬愛する女性に関する情報が少なすぎるから、こうするしかなかった(2)

バブル時代の東京を舞台にしたハードボイルドな経済小説を読み終えました。それもこれもお慕いする新潮社出版部部長・中瀬ゆかりさんを知りたいからです。彼女が愛した男・白川道さんの作品「流星たちの宴 (新潮文庫)」を読み、中瀬さんが愛した男性の作品を通じて中瀬さんについて知ることができれば・・・(完全にストーカー)
読んでみて、いかにお二人がお似合いのカップルだったのかということを感じました。

傷を負った大人の男

年齢だけ重ねても大人の男にはなれません。ですからツイッターのプロフィールにいい歳をしナンパの戦績を誇らしげに書いているような人(どうせ不細工)には、この作品を読んでも何も響かないでしょう。
本書は白川さんの私小説でもあるため(ただしフィクション)、当然彼の実体験や、人生観に基づいて書かれている部分が非常に多いわけですが、その部分から勝手に推測すると、白川さんは、傷を負った大人の男だったのです。

Humphrey Bogart - El Mito

何を背負って生きているんだろうと女は気になってしまう。だけど男は多くを語りたがらない。女は荷を下ろさせてやりたいけれど、もう彼の人生の一部になってしまっているその荷を置いて歩き続けることなど、彼にはできない。これってもう中瀬ゆかりさんのストライクゾーンのど真ん中=年上で危ない感じがする人 ですよね。そして白川さんはきっと繊細で優しい方だったのだろうと思いました。
繊細と言っても「私は繊細だから人に言われた些細なことですぐに傷つく」という繊細チンピラ的な繊細ではなく、心の機微がちゃんとわかる繊細さ。そして持って生まれた賢さもあり、只者ではない雰囲気が出てしまう。
バブル時代の相場の話で消化不良を起こしたため(私の脳で処理しきれなかった)、ちょっと中休みを入れましたが、30代そこそこ以上の男性が読んだらページをめくる手が止まらないんじゃないかな。危ういけど魅力的な、裏社会でしか生きて行けなさそうな破滅的な男達が登場します。女にしてみれば危ないとわかっていても惹かれてしまう人、男にしてみれば同性から見てもいい男。

さて、この小説の中ではアウトローな金融マン・梨田雅之のモデルは白川さんですが、彼が愛した女子大学生・理子のモデルはエッセイストの横森理香さんです。二人が出会い、ともに過ごした時代を横森さんの視点から書いたのがぼぎちんという小説です(私の脳と知性ではこっちの方がすらすら読めました)。感想は敬愛する女性の情報が少なすぎるから、こうするしかなかった(1) - マリア様はお見通しで書きました。

両方読んでみて思ったこと

読後は合わせ鏡のような感じを受けるのだろうと想像していたのですが、まったく違いました。

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まずお二人が小説の書き手としてまったく違うタイプだし表現したかったことも違いますから、バブルに沸く狂乱の東京という同じ舞台にして話を書いても、二つの小説が交差する瞬間は、少なくとも私の中ではありませんでした。そして大人の男に囲われた女子大生が背伸びをし、それをよしよしと男が愛しそうに頭を撫でるといったありきたりな陳腐な描写がなかったのもよかったです。


そういえば、中瀬さんがAERA dot. で「50代ボツイチ再生工場」という連載を持っていることを発見!その中でも好きな記事>>中瀬ゆかり「家に泥棒を飼っていると西原理恵子に言われてもトウチャンを愛した理由」 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)


これを書き下ろしにしたエッセイを出してくれないかなぁ。

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