マリア様はお見通し

普段は何も見えていないふりをしながら、善人面して静かに暮らしています

旅人を見つめる何かが潜んでいる 阿賀野川沿いを走って福島へ

子供の頃は理由も特にないけどなぜか苦手で、できることならば近づきたくなかった場所や景色。だけど大人になってみるとそこが実はとても相性がよく、自分にとって聖地のような、また畏敬の念を感じてしまい、何度も訪れてしまう。そんな場所はありませんか?発しているバイブが自分に合う場所。


スピリチュアル系の記事ではありませんので安心してこの先をお読みください


旅人がひれ伏さずにはいられない空気を感じる阿賀野川沿いの景観。阿賀野川沿いを電車なり車なりで走ったことがある人にはわかってもらえると思いますが、ここを走っていると「何かいる」と感じてしまうのです。
それが鬱蒼とした樹林の中から感じられるものなのか、それとも大きく動く歴史の中でもゆったりと流れ続けた、ややおどろおどろしい一面を見せる阿賀野川の中なのかはわかりません。精霊なのかよくない霊なのかもわかりません。阿賀町は阿賀野川ライン下りをアピールするために渓谷美という表現を使っています。確かにどの季節に乗っても美しい景観を楽しむことができるのですが、私はそのひとことでは表現できないものがあるような気がしてならないのです。

激動の歴史の中でゆったりと流れ続けた阿賀野川

 

f:id:usmilitarybase:20191013155320j:plain

(画像はコトバンクからお借りしました)

私が初めてこの景観を見たのは小学生になったばかりの頃です。夏休みの思い出にと、親戚達と集まって奥阿賀の宿に泊まることになりました。当時の私は自分よりもちょっと年上のいとこたちが苦手でしたから(からかわれるから)、大自然の中で彼らと遊ぶのは気が向きませんでした。とはいっても、ポータブルのゲームも携帯電話もない時代でしたから、子供が一人で旅館の部屋に籠っていてもやることがなく、逃げることはできないとわかっていました。そう考えると往きの道中も気が重くなり、そこに追い打ちをかけるかのように待ち構えていたのが、この阿賀野川沿いの景観でした。父の運転する車の後部座席からこの景色を見て、気味が悪いなぁと思ったものです。幼いながらに「何かいる」と感じていました。神秘的というのとは少し違う感じです。ところが大人になり、車の免許をとりたてで遠出を強く望んでいた義姉とともに阿賀野川に沿ってドライブしてみると、このおどろおどろしい景色に強く惹かれたのです。この河川沿いだけ時間の流れが違うとでもいいましょうか。

緑は目に優しいといいますが、緑といっても様々なトーンがあります。例えば上越新幹線を浦佐駅で下車し、在来線である上越線に乗り換えて小出駅あたりまで車窓から見える緑は、厳しい冬を耐えた山々が短い夏の日差しを目いっぱい浴びて輝いている、明るく且つ深い緑です。発する気が陽。
対する阿賀野川沿いの緑は、同じ雪国なのに緑がくすんでいて発する気が陰なんだけど、樹々や阿賀野川が自分達にとって何かを語り掛けているのではないかと錯覚してしまう迫力があるのです。まるで時がとまってしまっているような感じ。
それが雪化粧をすると寂寥感が漂います。

f:id:usmilitarybase:20191013135644j:plain

(画像は角屋旅館様のウェブサイト阿賀野川ライン舟下り 冬・船から見る阿賀野川の雪景色からお借りしました)

見守られているの?見張られているの?
どちらなのかはわかりません。だけど何かを感じずにはいられないのです。行き交う者を見つめる、悠久の歴史の証人のたたずまい。戊辰戦争の舞台になった会津から流れてきて、新潟県に入るとその名を阿賀野川と変えるこの川の流れが運ぶものに惹きつけられずにはいられません。

地理的には新潟県だけど文化的には福島県

こうしてずっと見守られ(?)、雄大な自然から囁きかけられているような気分のまま車を走らせ続けると、阿賀町の一部であり糀屋が多いことで知られる旧津川町に到着します。盆地ですから冷え込みが厳しい。ここまで来て感じたことなのですが、阿賀町は行政上は新潟県に属しますが、文化的には福島県の色が強いのです。至る所に会津藩だった頃の名残があるような気がして・・・会津藩がどんな場所だったのかよくわからないけど、とにかく自分が育った新潟とは何かが違うのです。そしてそこにある有名店・山崎糀屋で無添加の味噌を買い、さらに走り続けます。そこで感じるのは、福島県の会津若松駅と新潟県の新津駅を結ぶ磐越西線は、見事なまでに阿賀野川に沿って引かれたのだということ。ですから車の旅でも電車の旅でもこの景観が楽しめるのです。

旧津川町をさらに進んでいくと、かつて宿泊した旅館がまだあった!!

ホテル角神


なんか嬉しいなぁ。都会の喧騒から完全に切り離されたような環境で、静寂にもてなされているような気分です。外を散策しても楽しい。

白虎隊の墓 どこからともなく現れた語り部のような男性

そのまま車を走らせ続けついに福島に入ります。ここまで来たら喜多方ラーメンを食べよう!というのは後回しにして、白虎隊士十九士の墓に向かいました。そして墓の前までくると、突然どこからともなく高齢の男性が現れたのです。そして白虎隊士の少年達の悲しい最期について語り始めました。

_DSC1976

墓守の方なのでしょうか。ぼそぼそと早口で話されていたのと、イントネーションの違いで正直言って話の内容のほとんどがわからないままだったのですが、お線香を持ってこなかったことをその時になって初めて悔やみました。雪解けの始まった墓地の向こうにその男性は消えていきました。

Footprints


再び新潟に戻り、羽越本線沿線へ。

阿賀野市 瓢湖(ひょうこ)は冬がおすすめ!

同じ阿賀がつくけど、阿賀町とは全く雰囲気の違う阿賀野市。そしてそこにある人造湖、瓢湖

角屋旅館様のツイートを見ると既に白鳥が飛来しているそうですが、私は冬の瓢湖を強くおすすめします。ちょっと異国情緒があって、デートスポットとしても、家族連れでも、友達同士でも楽しめます。
角屋旅館や阿賀野川ライン下りの発着所「阿賀の里」がある東下乗駅から磐越西線で新潟方面の新津駅に向かい、そこで羽越本線に乗り換えてそこから二つめの水原駅が瓢湖の最寄り駅。ここまでくるとさすがに会津藩の名残はなく、完全に新潟市のベッドタウンという感じで俗世間に戻ってきた感じがします。

福島県の猪苗代湖もそうだけど、この湖で白鳥や鴨が戯れる姿を見ていると、そこが日本であることを忘れてしまいます。突き刺すように冷たい空気が顔にふれて人間は縮こまっているのに、鳥達は大はしゃぎ。
この瓢湖の近くにあるショコラ亭で売られている新潟の地酒を使ったチョコレートはおすすめです♪

Northern Pintail

瓢湖からさらに北へ進み、電車だと水原駅から羽越本線で二つ目の月岡駅で下車すると、有名な月岡温泉があります。

以上、新潟県下越(かえつ)地方をご紹介しましたが福島県寄りでしたので、今度は2019年10月5日に誕生した観光列車「海里」に乗って、同じ下越地方でも山形県と県境を接する地域をご紹介しようと思います。都会の人達が観光地としてイメージする新潟は越後湯沢に代表される上越(じょうえつ)地方ですが、そちらの紹介記事はこちら>>川端康成の書かなかった雪国 - マリア様はお見通し