私の昭和史(4)子供の私に最高の夢を見せてくれた光GENJI

アイドルは幻想であり、消耗されてしまうと新品と交換されてしまう商品です。今思えば光GENJIはジャニーズ事務所が創り上げた見事な虚像であり、どこか他の星からやってきた少年、青年の集団のように見えました。

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(初期によく着用していたこの白x黒のジャケット姿が大好きでした。大沢樹生さんはどんな衣装を着ても顔が勝ってしまう)

当時小学生だった私は犬の散歩をしていました。すると近所のおばちゃんが「あーもうローリンローリンってうるさい!!!」とぶつくさ言っているのが聴こえたのです。犬の散歩を終えて帰宅し、母に早速「ローリンローリンって何?」と聞いたところ「ああ、なんだっけ?あの人達・・・ローリンローリンって歌うグループが出てきたのよ」と言われ、気になった私は歌番組の放送で彼らにお目にかかれるのを楽しみに待ちました。気になるものがあればすぐにググって動画でチェックできる今の時代とは、まったく違う時代に生きていたからこそ感じることのできたわくわくです。
ローリンローリンと歌うグループ、光GENJIを初めてTVで見た夜の衝撃を今でも覚えています。あれはもう鮮烈でした。私はあっくんこと佐藤敦啓さん(現:佐藤アツヒロ)の大ファンになりました。あっくんは岡田准一さんとともにジャニーズ事務所を代表する正統派/真性イケメンの一人です。
なぜ彼ほどのイケメンがまだ若いというだけで(?)センターになれず、その代わりに田舎のガキ大将風でバク転も滅多にやらない諸星和己さん(かーくん)が変なはちまきと羽根の飾りをつけてセンターで暴れまくっていたのか、当時まだ子供だった私には理解できませんでした。
でも今になってみるとわかるのですが、かーくんがセンターに立っていたからこそ、とれていたバランスがあるのです。あっくんのように誰から見てもイケメンの若い男の子や、大沢樹生さんみたいな完成された長身の美男をセンターにしたらつまらない。プライベートでも同じ部屋に集まって楽しく騒いでいそうな仲良しグループ風は演出できません。

萌えポイント満載の振り付け

  1. 程よくダサい
  2. 着替えタイム
  3. 光に決して追いつけない、追いついてはいけない中学生二人組
  4. ジャニーズ事務所の後輩達の使い方


1.程よくダサい

例えばStar Lightのソロの部分。山本淳一さんも赤坂晃さんもソロで歌っている最中に拳を静かに突き上げる仕草をします。ファンじゃない人から見たら「それ、本当に必要?」という動きです。でもあの小さなパンプが「僕のソロパートだよ」というアピールであり、またファンへの呼びかけ→つながりに見えて、私はキュートだなぁと思って眺めていました。

youtu.be

(作詞・作曲 飛鳥 涼)


2.着替えタイム

光GENJIの人気のピークに発表された「ガラスの十代」には着替えタイムがありました。光の二人とジャニーズ事務所の後輩達が間を持たせている間にGENJIの5人は着替えたり、あるいは上半身裸になったりするのですが、それをあえて観客に見えるところでやるのです。もうこれは完全に計算済みの「ファンをどきどきさせるサービス」ですよね。カーリング女子のもぐもぐタイムなんて光GENJIの着替えタイムのありがたみに比べたら・・・っていうか比べられません。
しかもGENJIが着替え中も彼らの歌声は響き渡り…「口パク?そんなのどうでもいいですよ。彼らを拝むことができれば」という空気にスタジオやコンサート会場は支配されるのです。

youtu.be(作詞・作曲 飛鳥 涼)


3.光に決して追いつけない、追いついてはいけない中学生二人組

デビュー当時はスケーティングがコントロールできずコケている姿もちょくちょく見受けられましたが、滑り込む、踊りこむにしたがってどんどん7人という数を活かしたフォーメーションが固まってきました。だけどあっくんと赤坂晃君の中学生二人組と光の二人の間にあるパフォーマンスの差は縮まりませんでした。特にあっくんは他のメンバーの踊り方を視界の隅でいつも意識しているせいか、ややびくびくしているようなところがあり、彼がのびのび&ノリノリになる部分と言えば、中学生二人組がフロントで〆るStar Lightの「ガーラースーのぉぉぉぉ海ーーーでぇぇーーー」という最後の部分のみ。あの部分を歌っている時、あっくんはいつも足でリズムをとっていました。自然と体が動いてしまう感じ。
変な歌だし好きでもないけどしようがないから歌っているアイドルだったらまずやらない動きですよね。自分が歌っている歌が心から好きだと言っているように見えて、可愛いなぁと思いました。そしてこの可愛らしさはお兄さん的存在の光の二人がいてこそ際立つのです。


4.ジャニーズ事務所の後輩達の使い方

上に貼った「ガラスの十代」の動画で、最後のサビのコーラスのところになると、赤いジャケットを着たジャニーズの後輩達が加わるのですが、当時も今も感じることが二つあります。それは光GENJIとの格の違い。赤いジャケットを着て踊っている後輩達の脇役感がすごいのです。光GENJIって相当えらかったんだろうなぁと思わずにはいられません。
そして脇役ながらも後輩達から感じられる野心もありました。「あの光GENJIの脇で踊ってるんだぜ!そして近い将来俺だって・・・」という自尊心と野心。彼らは間違えなく光GENJIを引き立ててくれる存在でした。

 

大沢樹生というスパイス

光GENJIの中での大沢樹生さんという存在は、初代モーニング娘。で言えば飯田圭織さんのような存在。彼女のような濃い、ちょっときつそうな顔の女の子がいなかったら、あのユニットはかなり野暮ったかったはずです。飯田さんがモーニング娘。をぴりっと締めていて、なっちがなっちでいられたのも、飯田さんのあの顔があったから。

大沢さんは、松岡昌宏さん+海老蔵さん+ハビエル・フェルナンデス選手÷3でできる顔=要するに濃いめのイケメンってことなんですが、ウィキで彼の身長が177cmと知った時は驚きました。これは羽生結弦選手の身長が172cmと知った時に感じた驚きと同じです。お二人とも180cm以上あるように見えたので、それだけ顔が小さく手足が長いということでしょう。
おまけに大沢さんは運動神経も抜群で、バク転も余裕からか溜めがあるし、振り付けもアドリブを入れて味付けしていました。
このちょっと大人びたセクシーなスパイスがあったからこそ、若いメンバー達の踊りがちょっと拙く可愛い感じに見えて、ファンにはたまらなかったのです。
ちなみになぜチンチンポテトのCMに光の二人は登場しなかったのか→「大沢の口からチンチンという言葉はシャレにならないから」という説すらあり。

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 最後はこの一曲で〆ましょう。歌詞もメロディーもじんと来ます。現在はジャニーズJr.が歌うこともあるようですね。

www.youtube.com

作詞:飛鳥涼 作曲:CHAGE

収録されているアルバム 光GENJI

Hurry UpとRainy Girlも好きです。ファンの心を溶かしてしまうような歌詞を男性アイドルに歌わせたASKAさんってすごいな。