マリア様はお見通し

普段は何も見えていないふりをしながら、善人面して静かに暮らしています

Sweet and bitter 1 歳月が流れて

 

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この景色を大昔に一緒に見た男性と、先日話をしました。
なんだかんだいってずっと連絡をとりあっている人ですが、南米出身の彼は、私がアメリカ人と結婚し、時々中南米の家庭料理の代表でもあるビーンズ料理を作ると知った時、「じゃあ君もビーンズを煮こむようになったんだね。ビーンズは前夜から水につけてる?」と聞いてきました。
「ううん。圧力鍋で煮込んでる。あなたの奥さんは前夜からつけておくの?」と聞き返すと「うちだけじゃなくて、この国の女性ならみんなそうしてるよ」と答えながら微笑みました。
そして私が他の男性のために煮込んでいる姿を想像すると、いまだに少し心が痛くなるのが面白いと言いました。だけどその痛みは昔のように、心を焼けつくすようなものではないし、その痛みがベッドの中で快楽に変わることも、私達にはもうありません。
先日は突然「君は旦那さんになんて呼ばれているの?」と聞かれたので、cloudとかcottonと答えると、自分が抱いていた頃の私の肌の色や質感が一瞬で鮮やかに蘇って、彼のiPadのモニターに映っている私が、今にも飛び出してくるのではないかと思ったと言いました。言葉の力ってすごいですね。
彼と話した翌日、近所のスタバに行ってホワイトモカを頼みました。それは、彼がスタバで飲める唯一のドリンクでした。芳香なコーヒー豆で有名な国で生まれ育ったのに、コーヒーが飲めないと言った彼を笑い飛ばしたあの時の自分の若さは、もう今の自分にはないのだと、そのホワイトモカを飲みながら思いました。
思い出がまるで堰を切ったかのような勢いで蘇る時、そのきっかけとなるのはある言葉だったり、飲み物や食べ物、場所、香り、音楽・・・というように、人それぞれだと思います。
私の場合は、その日は飲み物の力を試してみましたが、結構鮮明に蘇ってくるものなんですよね。その思い出を与えてくれた人や、その恋をしていた、当時の幼稚で愚かな自分を大切にしてくれた友人達のことをこんな風に思い出すのは、毎年決まってバイオリズムが下がる秋です。そして秋になると下がるきっかけを作った本人は、そんなことを知る由もありません。

「いつの日かまた、僕がホワイトモカを、君がカフェラテを飲みながらこんな風に話ができますように」

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photo by joshwept

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