官能的且つ幻想的 つける人を選ぶオリエンタルな香水が持つストーリー性

セルフセラピー ゲランの調香師の力に癒される - マリア様はお見通しという記事にMira様が投稿されたコメントを読んで以来、ゲランのShalimar(シャリマー)という香水がずっと気になっていました。そして先日ゲランのカウンターに立ち寄り、やっと試してみたのですが、その香りを嗅いだ瞬間時が止まりました。

 

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嗅いだ瞬間、走馬灯のように思い出される「夏の夜の思い出」の数々。すっかり忘れていたと思っていたはずの終わった恋、失った愛の残像が香りとともにふと見えた気がする。そして今まさに身を焦がしたり、現を抜かしてどっぷりと浸かっている恋のスパイスにもなりそうです。じとっとまとわりつくような熱気や汗と絡み合って昇華するとどんな香りになるのだろうと思わせる、官能的な香り。またやや背徳的でありながら高貴。人に例えたらシェヘラザード。
オリエンタルな香りなのですが、同ブランドの「ミツコ」(「ヨーロッパから見た日本のイメージを香りにするとこんな感じなのか」という香り)にはまったく惹かれなかった筆者も、このシャリマーは好きとか嫌いとかそういうものを超越している香りだと思いました。

インドの大帝と愛妃の情熱的な愛の物語に感銘を受けて誕生した「シャリマー」。サンスクリット語で“愛の宮殿”を意味するこのフレグランスは、ふたりが誓い合った永遠の愛を象徴する、情熱をかき立てる官能的な香りです。フレグランス界を代表するオリエンタル系フレグランスとして知られる「シャリマー」は、くすぶるような、それでいてかすかな気高さを感じさせる香りが魅力。禁断の愛を思わせるセンシュアルな香りが肌を包みこみます。 「シャリマーをまとうことは、感覚の波に自らを任せることだ」とジャック・ゲランは語っています。 レイモン・ゲランがデザインした「シャリマー」のボトルは、1925年にパリ万国博覧会で最高賞を受賞。その曲線は有名なシャリマー庭園の泉からイメージされたもの。扇形の透明なサファイア色のキャップは、シャリマー庭園に永遠に流れる噴水を象徴しています。
ゲランの公式サイトより引用


(シャリマー庭園)

The marble pavilion at Shalimar Bagh, a Mughal garden in Srinagar, Kashmir, India

 

「合コンにこれをつけていくと男性達に『いい香りだね』って言われるんです」という理由から売れる香水はその時代によって異なりますが、爆発的に売れてしまった分、三歩歩くと同じような香りの人にあたってしまう。素晴らしい香りなのに没個性的な感じすらします。
そういうものとは対照的な位置にあるのが、シャリマーです。この香りを大衆的なイメージと結びつけることができません。多くの消費者によって利用されるけれどすぐに忘れ去られるような香りではなく、つける人を選ぶ。

(ダル湖。シャリマー庭園はこの湖の東岸にあります)

Dal lake dreams!

シャリマーの香りはこの画像の空の色のよう。人の心をしめつけるような、高ぶらせるような色。夜の闇に包まれる直前、あるいは日が昇り始めるその瞬間といった、いずれも短い時間にしか自然が見せてくれない幻想的な表情のよう。


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 この香りで思い出したのが、映画「カーマ・スートラ」のサントラ。どの曲も悲哀を含んだセンシュアル且つ洗練されたものですが、その中でもA Jewel of the GutterからRed Hisibscus on Skinへの流れのエキゾチックな感じがシャリマーの香りにぴたっとはまりました。

Kama Sutra: A Tale of Love

Kama Sutra: A Tale of Love

  • Mychael Danna
  • ワールド
  • ¥1500

 1曲目のOmiyaは、今思えばうつ病だったのだろうと思う頃によく慰められた旋律でもあります。
ここまで絶賛しておきながらシャリマーは購入に至りませんでした。これは現役で恋愛をしている女性の方が似合う香りだと思うから。
といいつつ・・・・結局買った(笑)。