ロスチャイルド夫人に学ぶ(5)愛する男性に尽くすということ



もう十年以上前に見たTV番組の話です。
一般人の可愛い女の子(今思えばあれは多分一般人ではない)が登場して男心の攻略方法について紹介するというコーナーがありました。その可愛い女の子はこういいました。

「別れ話をした後、こっそり彼の洗濯物をたたんで彼の家を出ます。そうすると彼が後で一人になった時に洗濯物を見て『いい女だったなあ』と思ってくれるから」

家政婦代わりにいそいそと働いてくれる女がいい女だという価値観を持つ男性になら、この押し付けがましい方法でも効くでしょう。だけどこの女性のように「いい女と思ってもらえるように」と見返りを求めて男性のために何かをするということを白々しく感じる男性もいます。
愛する男性のために尽くすということは、水面下でバタバタと足を動かしながらも、それを想像させることなくすっと優雅に泳いでいく白鳥のようであるべきです。

マダム・ロスチャイルドの場合はどうでしょう。

(画像の青年は「嘆きの壁」の前に立つロスチャイルド夫妻の愛息・バンジャマン)

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ユダヤ教で男性が被ってる帽子どの様に留めていますか。小さい... - Yahoo!知恵袋

見返りは求めない。「愛する人の属する社会のことを知りたかった」


エドモン氏は自分の息子がユダヤ教徒としての教育を受けることを重要としていたにも関わらず、マダムには一度も改宗してくれと頼んだことはないそうです。だけど子供の母親である自分もユダヤ教を熟知している必要があると考えたマダムにとって、改宗は当然の選択でした。

「私が主人の楽しみばかりでなく、主人の信念や悩みをもわかちあうのは、あたりまえだ。私の役目は主人を助けること、それもイブニングドレスを着ている時だけとは限らない」

実はマダムがユダヤ教の教義を学び始めたのは、結婚式をあげるずっと前からでした。愛する男性が生を受け、そして育ったユダヤ人社会を理解したかったのです。そこに溶け込もうなどと思っていませんでした。

主人には内緒で、ユダヤ教の教義を学び始め、神学を専攻している女子学生について勉強するようになっていた。自分が一緒に暮らしている人のこと、その人の属している社会のことをもっとよく理解したかったからだ」

愛する人と向き合って、力を合わせて生きていくために努力を惜しまない。ひっそりと積み重ねた努力を評価してくれとも言わない。私はこういう姿こそ「尽くす」ということだと思うのです。ここまで読んで、何か思い出した人はいませんか・・・・??私が本書を読んで「そういえば真逆の女がいたよな・・・・」と思い出したのは・・・・
Sex and the Cityのシャーロット!!!

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photo courtesy of HBO: Sex and the City: Charlotte York

ユダヤ教徒の男性ハリーと結婚したがったシャーロットが、Zabar'sというユダヤ系の食材を扱うお店に通って、頑張ってマッツァボールを作ってユダヤ教式の晩餐を準備したエピソード。
ユダヤ教の食前の祈りを捧げ終えたシャーロットが目を開けてみると、なんとユダヤ教徒のハリーは祈りを捧げているわけでもなければ、シャーロットが食前の祈りまで覚えたという事実に感心するどころか、TVのアメフトの試合に夢中になっていたのです(爆)。
そこでシャーロットがぶちきれて「(異教徒の)私がこれだけの数のマッツァボールを作って、ユダヤ教式のディナーを準備するのにどれだけ頑張ったかわかっているの?!」と怒鳴ってしまうんですよ。自ら頼んだ覚えも無いのに勝手にここまでされて、しかも怒鳴られてハリーが困惑してしまうのも無理はありません。

愛する男性のために尽くすなら、相手に気を遣わせないように、ひっそりとやりたいものです。

【ナディーヌ・ロスチャイルド夫人に学ぶシリーズ】