Sex and the Cityのドラマ、映画を見ていてしょっちゅう思ったことがあります。4人の主人公の中でも中心的な存在であるキャリーは友達想いの大人の女に見えますが、実はすごく自己陶酔していませんか?
- 自分本位な謝罪
- 40歳を過ぎて元彼とのキス一つで大騒ぎ
- 「愛している人に嘘なんてつけない」 正直にすべて話すことってそんなに素晴らしいことですか?
- 自分が描く理想の結婚生活に不要なものは排除し、夫は息が詰まる
傷付けた側って自分が気持ちの整理をしたくなった時に『あの時は自分が悪かった』と身勝手に謝ってきて過去を精算しようとしてくるけど忘れかけていた頃に謝られることでまた傷付く場合もあるから傷付けたのなら責任とって一生悪者でい続けろよと思う
— 真夜中の御徒町 (@sibirerucake) 2017年5月1日
このツイートをみて思い出したのがSex and the Cityのこのクリップ。
主人公のキャリーが、不倫相手の妻・ナターシャに謝罪するシーン。
自分本位な謝罪
キャリーを散々振り回した男、Mr.Bigは若くて美しく、ファッション業界でキャリアを積み重ねているナターシャと結婚しました。だけどその完璧な美女との結婚はうまくいっていないようでした。
「君のことばかり考えている」「会いたい」
お人形のように美しい妻を持ちながらキャリーのことを思うあまり、常軌を逸した行動に出るようになったBig。そしてキャリーとBigは情事を重ねるようになります。
「私ったらこんなところでなにやってるんだろう」
「不倫相手の自宅でこんなことして、まるで売春婦」
うだうだ言う割には情事を続ける気満々っぽいキャリー。ナターシャに申し訳ないと思いながらも、どこか優越感を楽しんでいたのでしょう。そんな二人の情事がナターシャに見つかってしまいました。Bigとキャリーが夫妻の自宅で情事を楽しんだ後、Bigは仕事に向かい、キャリーは彼の家に残り、シャワーを浴びてテイクアウトの残りを食べていた時にナターシャが帰ってくるのです。
彼女に見つかりそうになって逃げるキャリー。追いかけるナターシャ。そしてナターシャはキャリーを追いかけていて階段から落ちて、歯を折ってしまいました。
結局この修羅場でナターシャは心を傷つけられただけでなく、大量に出血するほどの怪我を負い、最悪の結末を迎えます。このことをどうしても直接謝りたかったキャリーは、知人を使ってナターシャがランチをする予定の場所をつきとめて、乗り込むのです。
キャリーは謝罪してすっきりしただろうけど、身勝手に謝られたナターシャの方はというと、「あなたは私の結婚をめちゃくちゃにしただけでなく、ランチも台無しにしたわ」と締めくくります。
許されたいとか、罪悪感から解放されたいとか、申し訳ないと思っている気持ちだけでも伝えたいとか、自分本位な謝罪ほど迷惑なものはありません。真夜中の御徒町さんのツイートにもあるように、思い出させることで傷つけてしまうこともあるから、一生悪者でいることが、最大の償いにだってなりえます。
ナターシャが歯を折るシーン。痛い。
- 自分本位な謝罪
- 40歳を過ぎて元彼とのキス一つで大騒ぎ
- 「愛している人に嘘なんてつけない」 正直にすべて話すことってそんなに素晴らしいことですか?
- 自分が描く理想の結婚生活に不要なものは排除し、夫は息が詰まる
40歳を過ぎて元彼とのキス一つで大騒ぎ
Sex and the City 2より
それから数年。キャリーはBigと結婚します。そしていつもの女友達四人で旅行に行った先のアブダビで、キャリーはなんと元彼エイダンと再会します。「積もる話もあるから」と二人でディナーの約束をし、胸の谷間も肩も露にし、とてもじゃないけど「元彼との肩の力の抜けたカジュアルなデート」のためのものとは思えない装いでエイダンに会いに行ったキャリーは、別れ際にキス。
キャリーは宿泊先に戻ってくると女友達にこう言いました。
「エイダンとキスしちゃった!(これから詳細を話すから)全員集合よ!サマンサー!サマンサー!」
たかだかキス一つに、自分の女友達がそこまで話を聞きたがると思えるキャリーのおめでたさがすごい。しかも40過ぎですよ?こういうのを見ているとお口直しにフランス映画を見て、そこに登場する大人の女の生き様でキャリーの自己陶酔ぶりを上書きしたくなります。
「愛している人に嘘なんてつけない」 正直にすべて話すことってそんなに素晴らしいことですか?
Big(夫)に国際電話でわざわざ「なぜ元カレとキスに至ったか」を詳しく説明するキャリー。
「友達はあなたにわざわざいうこともないって言ってたんだけど・・・」とか言っていますが、私が旦那なら「40過ぎにもなって女友達に『聞いて聞いて!』と心の揺れを細かく説明するような女と結婚した俺が馬鹿だった」と思って黙って電話を切ります。
「キスしてしまったことと、それを隠し通しながら結婚生活を送ることに対する罪悪感が私を苦しめる。だから正直に話そうと思う」
こういうことを言う人は、それを聞かされた側の心の痛みを想像できない人です。相手の心を痛めてもいいから、自分が罪悪感から解放されたい身勝手な人。
自分が描く理想の結婚生活に不要なものは排除し、夫は息が詰まる
Bigがベッドに横たわりTVを見てくつろいでいると、キャリーはこういいます。
「そのTVで見てもよいのはモノクロの番組だけのはずよ」
キャリーが描く理想的な結婚生活はとても明確でした。
自宅にいる時くらい好きな番組を見てくつろぎたいBigに対し、「たいした会話もしないでただ二人でベッドでTVを見ているような夫婦にはなりたくない!」というキャリー。
「ときめきを絶やさないために二人で努力すべきよ」
二人でどんなに努力しても、毎日顔を合わせていればときめきなんて他のものに変わっていきます。そもそもときめきは努力して発生させるものではなく、自然発生してこそときめきなのです。そういう現実から目をそらし、理想の夫婦像だけを追いかけるキャリー。
「結婚生活ってもっと安らぐものじゃなかっただろうか」と夫は息が詰まるはずです。
それにしても上の動画、ほんの数分しか登場しないペネロペ・クルスの存在感がすごいですね。
以上、キャリーの自己陶酔ぶりうざいなぁと思う点について書きましたが、それでもSATC3が出たら見に行ってしまう自分が嫌になります。