合法的にハイになれる、手軽に手に入るから怖い「酒」


漫画家のまんしゅうきつこさんはアルコール依存症の治療の結果「飲まない」を選びました。

飲まずに耐えるか、飲んで死ぬか

アルコール中毒患者は、一時的に断酒できても一滴でも口にしたらまた逆戻り。この話を聞いて、あるアメリカ人のアル中患者を思い出しました。確かNHKで偶然見かけた番組だったと思うのですが、アメリカの低所得者層の人達をとりあげた番組でした。
その中で一人アル中患者の男性がいました。その男性は定期的にジムに通って汗を流していました。
「よく金も無いのにジムなんて行くよな、って言われると思うけど、こうやって体を動かし、汗をかいてアルコールの誘惑に負けないようにしている。気を紛らわせているんだ。そうじゃないとまたアルコールに依存してしまうから」
そこまでして、もう以前のような状態には戻りたくないということでしょう。

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[http://www.flickr.com/photos/15923063@N00/8686574743:title=photo by CarbonNYC [in SF!]]

アルコール中毒になりやすい人

上の動画に登場している精神科医・高橋龍太郎がこんなチェックリストをあげられました。

  1. 毎日飲酒をしている
  2. ストレスを抱える仕事をしている(ストレスを抱える生活をしている)
  3. 親もしくは家族がアルコール依存症
  4. 趣味がなくてストレスをお酒で発散

以上の四つに心当たりがある人は、アル中になる可能性があるということです。誰でも持っている可能性かもしれませんが、お酒の力に頼りやすい環境にいる人ということですね。私がこの番組を見ていて怖いなと思ったのは、アルコールは非合法ドラッグよりも莫大な数の廃人がいるということ。それだけ手軽に、合法的にハイになれるということなのです。

アル中は否認の病気

高橋氏はアル中患者の特徴として「自分が病気であることを否定し続ける」とおっしゃっています。実際にまんしゅうさんも自分がアル中と診断された時「誤診だ」と思ったそうです。あれだけ周囲に迷惑をかけておいてもまだなお・・・ですよ。


アル中ワンダーランド

私はこれを聞いて自分の父を思い出しました。まんしゅうさんの著書を読み、父はアル中ではなかったことを今になって確信しているのですが、あまりに飲酒量が多く、しかも酔っ払うとからんできてそのうざさが半端でなかったため(説教+普段に増して寒いオヤジギャグなど)、一時私は自分の父親がアル中ではないかと思ったのです。そして父にある日「パパはアル中だ」と突っ込んだらこう言い返されました。

「あのなぁ、俺が本当にアル中だったら朝から飲んでるぞ」

 そして自分の親戚に本物のアル中がいることを知り、その人と比べた結果「自分の父は違うんだ・・・」と胸をなでおろしました。そんな父も孫ができてからは酒量がいっきに減りました。
今まで父は、人間ドックであまりよくない結果が何度か出て、その度にお酒を減らそうとしてもなかなかうまくいきませんでした。大病を患って怖い思いでもすれば断酒していたでしょう。だけどお腹周りもすっきりしていて太らない体質だから若々しく見えるということもあり(ってことは私は完全に母親の家系の体質を受け継いだな・・・)「まあいいか」という感じだったと思うんですね。
だけど孫(私の姪)が生まれてからは、誰にも強制されていないのに禁煙し、お酒も減らしました。一日でも長く孫の成長を見守りたいという気持ちって、ものすごく大きなモチベーションなんですね。
こんな父親の娘である私も、実は自分がアル中の一歩手前なのかなぁと思った時期がありました。それはまた別の記事で書きます。→ 書きました。「週に一度の深酒で知った「アルコールは何ひとつ解決してくれない」ということ - マリア様はお見通し


高橋龍太郎氏のクリニック 医療法人社団こころの会グループ タカハシクリニック


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