マリア様はお見通し

普段は何も見えていないふりをしながら、善人面して静かに暮らしています

私の昭和史(5)ザ・ベストテン


まだ子供の頃、ザ・ベストテンというきらきらした歌番組がありました。黒柳徹子さんと久米宏さんが司会をしていた番組です。この番組が始まる時間になるとテレビの前に陣取って、気分が高揚してなかなか眠れなかった夜。それでも時々親が寝室をチェックしにくるため、寝たふりをするのです。
大好きだった光GENJIが上位にランクインして出演時間帯が遅くなってしまうと、法律で未成年メンバーの二人はその時間帯の就業が禁じられていたため、出演できなかったのです。あの時の失望感の大きさは、今でもよく覚えています。だからこそ次回が待ち遠しくて・・・・あの頃私にとって、アイドルというのは雲の上の人でした。人間じゃなかったなぁ。
そして翌日学校で友達とかわす「昨日ベストテン見た?」という会話が楽しみでしかたがありませんでした。当時はLINEはおろか携帯電話そのものがまだ存在しませんでしたから、固定電話できゃーきゃー長話をするのが田舎の子供=私にとっての娯楽でした。
当然ザ・ベストテンを見ながら、友達と電話越しに感動と興奮を共有したかったのです。現在ならLINEでチャットでもしながら盛り上がれるのでしょうね。
だけどこの番組は放送時間が夜の9時から。「お友達に電話をしてよいのは夜の9時まで」と親に決められていたため、感動と興奮は一晩寝かさなければならなかった、あの時代・・・。

そんな時代が色鮮やかに蘇るような一冊があります。それは私がお慕いする中瀬ゆかりさんがおすすめしていた、黒柳徹子さんのエッセイ「トットひとり」。

第一章の向田邦子さんとの思い出あたりは、向田さんのご活躍をよく知らないためなんだかぴんとこないんだけど(それでも笑える)、ザ・ベストテンをリアルタイムで見ていた人間を昭和にタイムスリップさせてしまう力のある一冊です。
あの華やかな番組の舞台裏で、そんなすったもんだがあったんだなぁというのも読んでいて楽しかったし、あの頃はまだまだ番組制作にかける予算に余裕があったことが感じられ、あらためて時代の移り変わりを感じる一冊でした。
中瀬さんが推すだけあって(新潮社の本だしね)面白かったです!

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