大人になってみてわかったこと



小学校に上がると、同じクラスの中にすごく息が臭い聖子ちゃんという子がいました。歯は黄色というか茶色くて、いつも食べカスみたいなのがいっぱいつまっていて、そして次第に歯が少なくなっていきました。結局その子は母親が今の時代でいうとネグレクトしていたそうです。母親はしまいには家を出て行ってしまいました。

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photo by Elephi Pelephi


ど田舎ですから、その噂はすぐにネット要らずの速度で広まりましたが、母は決して「聖子ちゃんのお母さんは、聖子ちゃんの面倒を見ない人だったんだよ」とは言いませんでした。そういうことは、子供に話すべきではないのでしょう。

そんな聖子ちゃんのお母さんは、家を出て行く前は時々うちに新聞の勧誘に来ていました。申し訳なさそうに断る母。その姿を何度も見ていて「何で新聞とってあげないの?」と言いましたが、母は何も言いませんでした。
その頃は、購読契約をとれずに帰っていくその人の後姿を見て、私は自分の母を意地悪な人だと思いましたが、自分が大人になってみると、やはり自分でもその新聞はとらないだろうと思います。池田先生アゲアゲタイムスみたいなやつ持って来られても、私が読むところはありませんし、押し切られて嫌々契約して陰で文句を言うくらいなら、最初からはっきり断って勧誘に来た人に陰口を叩かれた方が気が楽ですもの。