フィギュアスケートファンは羽生結弦選手に甘やかされている

解説者に仕事を忘れさてしまう羽生結弦選手。
解説者達は自分達も同じスポーツを愛し、競技者だったからこそ、羽生選手のやっていることのすごさがわかる分、熱くなってしまうでしょうね。


以下はフィギュアスケートファンにはおなじみのCBCの解説です。



カート・ブラウニング氏:Nice. A tiny correction on the landing. But I can't believe I'm actually getting picky about a quad-loop landing.
「いいね。着氷でわずかな修正。だけど自分が四回転ループに対して細かくなっているということが信じられないよ」


女性解説者:We've been spoiled. That's why.
「私達は(結弦に)甘やかされているのよ。」


(中略)

カート・ブラウニング氏:It's the back. This posture on his landings. (It) just says "I'm the best. Chase me, but you won't catch me."
「(結弦と他の選手の四回転ジャンプの違いは)背中だよ。着氷時の姿勢。その美しい姿勢が『俺が一番だ。追いかけてみればいいけど、俺に追いつくことはできないよ』と語っている」


四回転といえば、一番難易度の低いトウループから入りますよね。だけどなんだかんだで男子のフィギュアスケート競技に空中戦が戻ってきて、ブラウニング氏の現役時代には考えられなかった四回転ループやらルッツを飛ぶ選手まで出現しました。
そんな四回転にケチをつけている自分が、四回転ジャンプの先駆者であるカート・ブラウニング氏は信じられないのです。

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GPシリーズを見ていて感じたのは、羽生選手の場合四回転ジャンプの軽さと優雅さもさることながら、細くて長い手足を持て余していないところがすごいと思います。
あれだけ長いと、美しさという武器として活かすには、相当運動神経がよくないといけないはずなのです。欧米の選手の中で羽生選手のような体形に恵まれている選手を見ていても、手足がだらしなくぶらぶらしてみえる、活かしきれていない選手がいます。
だけど羽生選手は宝の持ち腐れにならないような運動量を保ちつつ、四回転を飛んでくる。そしてさらにあの「どこからともなくぽーんと軽々飛ぶ」と海外のメディアの間で評判の3A。
すごいことを軽々やっているように見せる羽生結弦選手に、フィギュアスケート界やファンは甘やかされている・・・。

 
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ジョニ子のしくじり

先日行われたグランプリシリーズのNHK杯の解説をしていたジョニー・ウィアーが、ともに解説をしていた長野五輪金メダリストであるタラ・リピンスキーの隣でうっかりこんなことを口にしてしまいました。

「羽生結弦に関して最も心を打たれることといえば、彼はオリンピックを制した。過去に活躍したほとんどのスケーターは(五輪で金メダルがとれた後)競技を去ってしまう。
彼らは(五輪当時の)スケーティングレベルを残りの競技生活で維持するんだ。羽生結弦の場合は、明るい光も、世界中の目の前でミスを犯すことも恐れていない。それが彼を素晴らしくしているのであり、一試合一試合、彼は戦士のように突き進んでいくんだ」

(ジョニーが解説したNBC放送分)

おそらくジョニ子さんは、羽生選手の演技に引き込まれていて、隣に座っている解説者・タラさんが五輪で金メダルを獲得してすぐに引退したスケーターであることを忘れてしまったのでしょう(苦笑)。
この後ジョニ子も「しまった!」と思ったのか、タラさんもなんと続けてよいのかわからないのか、気まずい沈黙が続きました。そしてタラさんがようやく口を開きました。


「ジョニー、まさにあなたのいう通りよ。オリンピックでメダルを取ると、モチベーションを失ってしまうの。結弦はそうじゃない。なんで結弦がフリースケーティングで四回転ジャンプを3つではなく4つ入れているかわかる?
彼は自分を目指して挑戦してくるスケーター達に、その4つの四回転ジャンプで対抗したいのよ」

青いフォントで書かれた解説がジョニ子、濃いピンクのフォントで書かれた解説がタラちゃんの解説です。
ひとまず沈黙は破られましたし、四回転ループの難しさについてもジョニ子がわかりやすく解説してくれています。

「トウをつくことで得られる補助なしに飛ばなくてはならない。ホッピングみたいなものだね。体のポジショニング、エッジ使い、そして(助走の)速さに頼らなくてはならない」

子供時代にホッピングの流行を経験しているアラフォー世代は、ループジャンプの難しさが想像しやすいでしょう(笑)。

ラングスジャパン(RANGS) バランスホッピング オレンジ

私は日が暮れてもこれにのって飛んでいました。ぼよよ~ん、ぼよよ~んって。もっとダサいデザインでしたけどね。でもジョニ子がループをホッピングにたとえたのはすごいなぁと思いました。着地してそのままホッピングのバネの力だけを頼りに、上に跳ね上がっていくんですよ。
だけど恐ろしいことに、四回転ループはホッピングのバネではなく、選手の膝のバネを使います。こんなジャンプを練習し続けたら故障につながるのではないかと思いますが、単独ジャンプだったらセカンドジャンプの3ループのような負担はかからないでしょう。
それに「もっと高みへ!」と羽生選手が熱くなっても、冷却器ブライアン・オーサーが稼働しますからね(笑)。平昌を前に故障で競技生活が続けられなくなる、なんてことはないでしょう。

関連記事:「チーム・ブライアン」の行間を読む (3)羽生結弦選手の最大の敵 - マリア様はお見通し

教会はトイレやお化け屋敷みたいな場所だ

青い海、豊かな自然の中に点在する教会。しかもその教会は、誰かが自分の権力を誇示するために作った大きな教会ではなく、画像中の教会のようにひっそり、こじんまりとしています。

Gorin Church, Hisaka Island

そんなものを見たくて五島列島に一度行ってみたいと思っていますが、教会というのは外から見ると神聖な場所で、内側に入ってみると、他の誰も、どこも受け入れられない・受け入れたくないものを受け入れてくれるトイレのような存在であったり、魑魅魍魎が集まったお化け屋敷のようなのです。

キリスト教会というと、新興宗教と違って胡散臭さがありませんよね。後者は迷える人々、苦しむ人々を飯の種にして幹部が私腹を肥やし続けていますが、前者は苦しむ人々を受け入れ、導くためにお金を請求してきません。それだけでクリーンなイメージを持ちますし、確かにクリーンでしょう。
だけど教会側は大変だと思います。神様のお導きがあっても、結局それには従わず行きたい方にしか行けない強者達が集まってくるのですから。

トラブルを抱えた人が集まる場所 それがキリスト教会

プロテスタント、カトリック、その他と宗派は分かれますが、宗派に関わらず、教会に熱心に通う日本人で、まともな人に会ったことがありません。
家系が代々クリスチャンという二世、三世などは別ですよ。

「教会に毎週通わない信者は、信者として認めない!」「あなた今週は礼拝に来れないの?じゃああなたの分まで祈ってあげるね」
そんな風に他の協会員にも押し付けるくらい熱心に通う人はたいてい問題を抱えています。極端な例を挙げると、ルネサンス佐世保散弾銃乱射事件の犯人とその両親も教会に通っていました。

私が実際に知るサンプル一人目は、私が一緒に働いた人です。
この人と携帯で連絡がとれなかったため、自宅に電話したところ母親が出ました。私が「〇〇さんの同僚で、あべと申します。いつもお世話になっております」と名乗ったところ、返ってきたのは「はぁ。それで?」。
この親にしてこの子あり、と思った瞬間でした。実は〇〇さんは色々と問題がありました。彼女が依願退職せざるを得ない方向にもっていって、それから半年後に周囲の望んだとおり、依願退職していきました。
二人目のサンプルは、中年の主婦でした。夫と子供達を捨てて若い男と家を出たけど、一年もしないうちにのこのこ戻ってきた人でした。
表向きには「やっぱり家族を愛している」というのが理由でしたが、おそらく金の切れ目が縁の切れ目ってやつで、若い男との火遊びに飽きて資金も底をついたため、裕福な暮らしが恋しくなったのでしょう。
二人とも熱心に教会に通っていましたよ。

救われたい、許されたい

北朝鮮に拉致されたまま、いまだに日本への帰国がかなわない横田めぐみさんのご両親もクリスチャンです。横田夫妻がお祈りやバイブルにどれほど救われていることでしょう。

夫妻のように、もう自分達だけでやれることには限界があり、それらをやりつくし、疲れ果て、もう心がずたずたになった人達の心のよりどころにもなる教会。
「3歳で、ぼくは路上に捨てられた」の著者ティム・ゲナール氏も神と出会い改心しました。
だけど夫妻のように自分達ではもうどうにもならない問題を抱えた人ではなく、自分自身の問題を他人や環境のせいにしている人や、自分ができる努力もせずに救われようと思う人達集まってくるのですから、教会は大変です。
そういう人が問題を作り出している自分を見つめよう、改心しようと思わずに、ただ救われたい、許されたいという利己的な考えを持って集まり、バイブルを読んでどのように解釈しているのか。
それとも「教会に毎週通うだけでよい人間になれる」という超他力本願なのか・・・。

どこぞの宗教団体のように、お布施の額と新聞の勧誘行動で信仰心が判断されるのはおかしいと思います。だけどお金=汚いとも言い切れません。こういう大変な人々を受け入れる場所=教会が運営を続けていけるように、最低限の維持費は必要だと思います。

 

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浅田真央選手が選び、歩んだ道を振り返る時(2) 華麗なる3-3

3-3爆弾を投下して振り返りたいと思います。

浅田選手のこの3F-3Loがすごい


1.シーズン2005/2006 GPシリーズのエリック・ボンパール杯 SP「カルメン」より


素人でもわかる、回転軸の細さよ・・・。きゅっと体を絞めてものすごい速さで回る浅田選手。この大会のFSでサンドラさんという女性解説者がこう話しています。
「サーシャ(コーエン)には成熟した魅力と洗練がある。真央にはそれがないけど、このジャンプの能力は、観る者達にとってはとてもわかりやすいもので、サーシャが持っているものが彼女には備わっていないということすら許されてしまう」
また2年後のシーズン2007/2008になるとこのサンドラさんという女性解説者は真央さんを絶賛するようになるのです。「プログラムがどうしてそのように振りつけられたのかとか、そういうところをちゃんと理解して滑っているのに、現行の採点システムではそれが点数に反映されない」とまで言ってくれているのですよ!(超意訳入ってます。すみません)彼女の成長をちゃんと見て解説してくれているのですね。それから10年以上たった今、浅田選手はサーシャさんの立場にあるわけです。月日の流れ、そして浅田選手の変貌・成長を感じました。


2.シーズン2006/2007 GPシリーズ スケートアメリカ SP「ノクターン」より

かろやかぁ~。この年の全日本選手権で、浅田選手がSPで3-3を飛ぶ直前に、観客席にいた小さなお子さんが叫んだのです。集中力がふっと途切れるかな、と思ったけど、見事に跳んで着氷して見せたんですよ。


3.シーズン2007/2008 全日本選手権 SP「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア」より

ポエムこと塩原アナの実況です。あ、どうでもいい?

4.シーズン2008/2009 GPファイナル SP「月光」


お見事!3-3のコンボだけでなく、すべての要素が美しくて、透明感のあるこの曲にぴったり。

異常な熱気に包まれた会場全体がキム・ヨナ選手を応援する、完全アウェイの韓国でこの演技をしてみせた浅田選手。そして優勝。その偉業を成し遂げて帰国した彼女を待っていたのはどことはいわんがフジテレビメディアによる粗探しのような報道。
それぞれのスポンサー数まで取り上げてキム・ヨナを持ち上げる異様な構成で、お祝いムード一切なし。
この約2か月後の四大陸選手権の直前、「モチベーションが上がらない」と浅田選手が苦しんだ理由は、この報道と全く関係なかったといえるでしょうか・・・?
またこのシーズンはプレ・バンクーバー五輪シーズンでした。このメディアは浅田選手の心を折ることに執心していたようですから、その点では大成功でしたね。国の宝がなぜ自国のメディアに潰されなくてはならないのか、私は不思議でなりませんでした。
関連ページ:フジテレビが異常なほど韓流に肩入れする理由 - <日枝久会長が... - Yahoo!知恵袋

と、ここまでが3F-3Loです。
二つ目のジャンプがループですから、フリップを着氷した脚でそのまま飛び上がるわけですよ。ということは、フリップに入る前に助走があってスピードがついていますから、そこから飛び上がって着氷時に浅田選手の膝にかかる負担は、おそらく実際の体重よりもずっと重いのです。
その膝で踏ん張って、さらにそのままループを飛ぶんですよ。途中でこのコンボを入れないシーズンもあったとはいえ、もう10年以上続けているのですから、そりゃ左膝だって悲鳴をあげますよ。故障しないほうがおかしい。

続きまして3F-3T

なんでやめちゃったんだろう・・・3F-3T。しつこいのはわかっていますが、3F-3Loは膝への負担も大きいし、「二つ目のジャンプ(ループ)の方が高かったんじゃないの?」というくらい跳び上がらないと、GOEの加点はおろか、認定すらしてもらえないようなコンボです。男子も女子も二つ目に3ループを持ってくる選手はもうほとんどいませんからね。割に合わないから。
こんなに楽々3F-3Tを跳んでいた浅田選手。平昌シーズンはこちらのコンボでどうでしょうか?

関連記事:浅田真央選手が選び、歩んだ道を振り返る時 - マリア様はお見通し

ユーロスポーツUKの解説者が漏らした本音

なぜうまくいかなかったのだろう。
何かあったのかな。故障かな。

そんな風に、浅田選手の演技がうまくいかなかったら、その理由を探そうとするという行動に慣れてしまったのは、もういつからでしょうか。

「本当は力がある選手なのに、試合になるとその力が出せない」
そんな浅田選手の姿を見ることに慣れてしまったのです。

グランプリシリーズ仏杯での、浅田選手のSPの演技に対するEurosport UKの解説者のコメントが、聞いていて悲しくもなり、また認めざるをえない内容でもありました。

それは今回のこの演技に対してというよりも、昨今の浅田選手の演技につきまとう空気感そのもので、やはり日本の放送で解説者達が大人の事情で言えないことを言えるのは、海外の解説者だけだなぁと思いました。

浅田選手のモチベーション、目標は何?

(どう言ってよいのやら・・・と迷った末に、力なく笑い)僕が気になって仕方がないのは、何が彼女(浅田選手)をリンクに戻ってこさせているのかということだ。
★ ★ ★

彼女が戻ってきたということに感謝しているし、彼女の演技を見ることは大好きだ。見続けていたい美しきものだよ。
ただ僕は、この競技を続けていくために要求されるものを彼女が耐えていこうと思えるだけのモチベーションが何なのか、興味があるんだ。
おそらく浅田選手は賢いから、もはや(・・・・・この部分は聞き取れません)のような人達と競い合うだけの力がないことは自分でわかっているはず。
(中略)
この競技の伝説のような存在が、伸び悩む得点を出し続けているということが悲しい。

(以上、ユーロスポーツの男性解説者の一人)


フリーのように崩れることなく、目立ったミスのなかったSPの演技後にふと解説者の一人が漏らした内容です。
私もこの本音トークには共感しました。浅田選手ほどのキャリアがあれば、プレ五輪シーズンで今の状態(3-3をはじめとする得点源を持っていない)だったら、平昌五輪で表彰台に乗るのは難しいことくらい、周りに言われなくてもわかっているでしょう。
現役続行を決意したのですから、やっぱり浅田選手は勝ちたくて戻ってきたのです。まだ手に入れたことのないタイトル=五輪の金メダル、あきらめきれなかったんじゃないかな。「スケートが好き」だけなら現役を引退してプロとして滑る道もあるのですから。
だけどいざ戻ってきてみたら、トップレベルで戦っていくことが難しいと、心と体で感じてしまっている。タイトル奪取への望みが薄くなりつつある今、浅田選手のモチベーションは何?と解説者達が考えるのも不思議はありません。
解説者達が称賛している浅田選手の成熟した魅力、スケーティングの美しさでは、3-3やFS後半にルッツを毎回確実に構成に入れてくる若手達との開きを埋めきれないのです。なぜならそれらはジャンプが決まってこそ活きてくるプラスαであり、得点源にはなりえない。
まだ手に入れたことのない唯一のタイトルを手に入れるどころか、「日本代表に選ばれるかどうかもあやしい」(ユーロスポーツUKのサイモンさん)。サイモンさんがこう続けました。

何が悲しいかっていうと、(浅田選手の)得点がこのくらいでも、もう僕らは驚かなくなってしまったということだ。


「こんなはずじゃないのに」
そんな風に精彩がない浅田選手を見ることに慣れてしまったことは、ファンとしても悲しいです。満身創痍で戦って、このような結果が続く。
時計の針を戻すことができたら、昔は軽々飛んでいた二つ目のジャンプに3Tを持ってくる2連続3回転の練習を始められたのに。だけどもう時計の針は戻せません。
平昌五輪までのあと1年と約3か月の間に、浅田選手が翼を取り戻せますように。そして自分の強さを信じられる浅田真央選手が戻ってきますように。

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